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「も、無理......」
あれからたっぷりそらるさんに意地悪された私は、全身へろっへろになってしまった。
文字通り骨抜きといった状態で、力なく床に座り込んでいる様子は大変情けない。なんだか目の前のそらるさんに負けたみたいで悔しかった。
「ふふ。あーあ、そんなとこに座っちゃって......雅ってば本当耐性ないんだから」
「そんなこと言ったって無理ですよ、てか何ですかあれ。私を殺しにきてるレベルの色気ですよ」
キッとそらるさんを睨んでも、ただただ可笑しそうに私を見るだけだった。
そんなそらるさんにむっとして、反抗してやろうと思ったけど、いきなり肩に重みがかかってそれはできなかった。
驚いて叫ぶよりも早く、胸焼けするようなひどく甘い香りがして、この香りは坂田さんだなと認識できてしまう自分が怖く感じた。
「坂田さん......重いです。離してください」
肩に添えられているであろう、坂田さんの顔を人差し指で突つきながら言った。耳元で囁くような吐息が、こそばゆくて身じろぎするけれど、私が逃げないように坂田さんからがっちりホールドされているのでそれは叶わなかった。
それどころか、お腹に回る腕は段々と強みを帯びてきていて、一つ動作をするだけで坂田さんの息が首元にかかるので擽ったかった。
____と、不意に坂田さんが口を開いた。
「んふふ、そうかぁ〜......声出さんくても分かるなんて流石やねぇ」
何を当たり前のこと言ってるんですか。出そうになった言葉をぐっと飲み込んで、代わりに当たり前ですと答えておいた。
するとその瞬間そらるさんの顔が、さっきよりも一層険しくなった。
まるで大事なおもちゃを他人に盗られたような。例えるならばそんな表情だった。
「そらるさ、」
「雅、またね」
何かやってしまったのだろうか。声をかけている途中にそらるさんは、踵を返してもと来た道を引き返してしまった。
いつもみたいに、じゃあねもばいばいも無い。あっけからんとしていた挨拶に、私は拍子抜けしてしまって追いかけるように手を伸ばした。
もちろん伸ばした手は、数メートル先のそらるさんに届くはずもなく空を切った。その代わり私の手は、力なく下がる前に坂田さんの手と絡められた。所謂、恋人繋ぎ。
「ね、雅。今日はこのまま帰ろか」
甘ったるいバニラの香りが、鼻腔をくすぐった。
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ちょこ - この作品好きです！続き楽しみに待ってます！ (2019年12月17日 20時) (
レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
loss(プロフ) - 関西風しらすぅ@坂田家さん» ありがとうございます。オメガバースからいらっしゃいませ。センラさんの見え隠れする独占欲最高ですよね。こちらでも、コメントありがとうございます！ (2019年8月14日 16時) (レス) id: 1be552adc4 (このIDを非表示/違反報告)
関西風しらすぅ@坂田家 - うはぁ、好きです。オメガバースから来ました……。センラさんの独占欲可愛いなぁ。惚れました!!!!いつまでも着いていきます!!!! (2019年8月13日 0時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
loss(プロフ) - 雨上がりのcrewさん» ありがとうございます！更新も頑張りますので、これからもよろしくお願いします。コメントありがとうございました！ (2019年8月12日 14時) (レス) id: 1be552adc4 (このIDを非表示/違反報告)
雨上がりのcrew(プロフ) - すっごい好きです！！これからも更新頑張ってください！！ (2019年8月11日 11時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
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