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お昼休憩を挟んでからも撮影は続けられて、相変わらずそらるさんと視線は合うけれど朝程ではなかったので、その後もスムーズに撮影することができた。
そして空が夕焼けに染まり始めた頃、ようやくこの日の撮影は終了となった。途中途中そらるさんの要望で撮り直しになる場面もあったけど、流石プロと言ったところか、角度と光を調節してなんとか完成させることができた。
疲れもそこそこに溜まってきて、今日は帰ったら高いお酒でも飲もうとドアを開けた。
「ふー…お疲れ俺」
「そこは私じゃないんですね」
楽屋へと戻ると、そこには何故かそらるさんがいて私の席を占領していた。
近付いてみても全く退こうとはしない。このままでは帰れないので、くつろぎの所悪いけど退いてもらうことにした。
「退いてくださいグタるさん」
「んー…」
「……置いて帰りますよ」
「えー…」
「えーじゃなくって…って、あー!!私のお菓子また勝手に食べましたね許しませんよパクるさん」
しかしこの後もそらるさんはえーとか、んーとかしか声を発さないためそらるさんを放置して帰ることにした。荷物は肩掛けショルダーしかなかったので、不幸中の幸いと言えた。
そしてすやすやと眠るそらるさんへ、せめてもの嫌がらせで大きく音を立てて、ドアを思いっきり閉めた。
ふふふ。あれで起きて私がいないことに慌てふためくがいい。
若干腹黒い考ではあるけれど、そらるさんのどこでも寝る癖を治すための方法と考えれば、俄然張り切って協力ができる。
多少の良心は痛むけど。
そしてしばらくすると、ガチャンッと扉が開く音がした。
あ、来たなと思った瞬間に名前を呼ばれたので、反射的に後ろを向く。
「雅」
「何ですか?」
後ろを振り返ると車のキーを片手に、こちらを見ているそらるさんとまた目が合った。
「ねぇ、一緒、帰んない?」
眠気がまだ残っているのか、所々目が開いていないそらるさん。お色気仕掛けですか?と、言わんばかりのモデル顔負けのポーズに心が撃たれました。
にやけ顏を必死に抑えて、ぜひお願いします、そう言おうとした口は誰かに塞がれて言うことができなかった。でもその代わりに上の方から声が降ってきた。
「あぁそらるさん。すいませんこいつこの後も仕事あるんで、俺が代わりに送って行きますね」
低音で甘い声。思わず上を向くと、ギラギラと獰猛の目をそらるさんに向ける坂田さんが居た。
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ちょこ - この作品好きです!続き楽しみに待ってます! (2019年12月17日 20時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
loss(プロフ) - 関西風しらすぅ@坂田家さん» ありがとうございます。オメガバースからいらっしゃいませ。センラさんの見え隠れする独占欲最高ですよね。こちらでも、コメントありがとうございます! (2019年8月14日 16時) (レス) id: 1be552adc4 (このIDを非表示/違反報告)
関西風しらすぅ@坂田家 - うはぁ、好きです。オメガバースから来ました……。センラさんの独占欲可愛いなぁ。惚れました!!!!いつまでも着いていきます!!!! (2019年8月13日 0時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
loss(プロフ) - 雨上がりのcrewさん» ありがとうございます!更新も頑張りますので、これからもよろしくお願いします。コメントありがとうございました! (2019年8月12日 14時) (レス) id: 1be552adc4 (このIDを非表示/違反報告)
雨上がりのcrew(プロフ) - すっごい好きです!!これからも更新頑張ってください!! (2019年8月11日 11時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
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