ぼくのかわいい。 ページ12
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モデルさんだとか、メイクさんだとか
仕事関係なんてとっぱらって、僕はAを愛したい
「おはようさんA。よう眠れた?」
「おはようございますセンラさん。お陰さまで、朝までぐっすりでした」
そう言って、A専用の衣装部屋から出てきた彼女は、どこか疲れていた
普段は隠している目の下の隈が、主張させているようでメイクが仕事である僕がそのことを見逃せる訳なかった
「A、かわいいコスメ入ったんよ。試しに僕の部屋に来ませんか?」
「え、でも、うらたさんが朝ごはん作ってるはずじゃあ、」
「うらたんには、僕から遅れるって言っときましたよ」
ぱっとでの嘘を言うだけで、Aは安心したような顔をする
常に機嫌を伺って、何かに怯えていて、不安になる
そんなAが、可哀想なくらい儚く見えて
......僕なんかが触れたら消えそう
......言えたらええのに。大丈夫やでって辛いんかって
いつも頑張ってるAを、どろどろに甘やかしたい。
仕事なんてせんくて、ずぅっと僕ん側におって。
......なんて言葉は、ドアが閉まる音と共にかき消した
「はぁーいA。ぱふぱふやるから目ぇ閉じて〜?」
と言うと、彼女は素直に目を閉じる
ぱふぱふとは、パウダー用のブラシのことだった
これを最初に見たときAは、「な、んですか、コレ......」とか言って驚いていたような気がする
そんときは確か、ファンデーションの後に塗るやつ、とだけ伝えたのか。コンシーラーを目元に優しく馴染ませてから、僕はもういいよとAに言った
「んーA、今日は何色にするー?」
コトン、と音を立てて置かれたのは口紅とグロスだった
赤から黒まで、約40色ある色をその日の気分で使い分ける
「うわーいつ見ても多いですね」
「そりゃ口紅やもん。多いに決まっとるやろ」
「......現場では大体3色くらいなんですが」
「楽屋のメイクさんは事前に服知っとるから、それに合う色持っていくだけでええけど、僕はその日のAに合ったメイクがしたいから持っとるの」
「えー......」
「ほら早よ選んで」
「......じゃあ、センラさんの好きな色で」
「黄色にするで」
半分冗談、半分本気で言った言葉にAは「それセンラさんのカラーじゃないですか」とさぞ可笑しそうに答えた。
ねぇA。俺はいつだって本気だよ
お前はいつだって、俺色に染まっていればいい。けど、あからさまな独占欲はお前を怖がらせるだけだから
「あー、ばれた?」
そう言って僕は、執着と掲げられた箱に蓋をした
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ちょこ - この作品好きです!続き楽しみに待ってます! (2019年12月17日 20時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
loss(プロフ) - 関西風しらすぅ@坂田家さん» ありがとうございます。オメガバースからいらっしゃいませ。センラさんの見え隠れする独占欲最高ですよね。こちらでも、コメントありがとうございます! (2019年8月14日 16時) (レス) id: 1be552adc4 (このIDを非表示/違反報告)
関西風しらすぅ@坂田家 - うはぁ、好きです。オメガバースから来ました……。センラさんの独占欲可愛いなぁ。惚れました!!!!いつまでも着いていきます!!!! (2019年8月13日 0時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
loss(プロフ) - 雨上がりのcrewさん» ありがとうございます!更新も頑張りますので、これからもよろしくお願いします。コメントありがとうございました! (2019年8月12日 14時) (レス) id: 1be552adc4 (このIDを非表示/違反報告)
雨上がりのcrew(プロフ) - すっごい好きです!!これからも更新頑張ってください!! (2019年8月11日 11時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
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