【おそ松さん】本物のおフランス帰り

変わってない ページ13

『……ん…』


　


　


　


今何時だろうか。


　


ご飯の後は兄さんたちと銭湯に行って、チョロ松兄さんにコーヒー牛乳を奢ってもらって。


　


家に帰ってくれば布団を敷いて。


　


布団は六人で入るのがちょうどだったから、私は別に一人分の布団をトド松兄さんの隣につけてもらった。


　


トド松兄さんは“寒いから手繋いででもいい？”なんて私に言ってきた。


　


多分、私が一つの布団だから寒いんじゃないかって思ってくれたのかな。


　


起きた今では兄弟の寝相の悪さに手も離れている。


　


まだ夜が明けていないところを見ると、2時くらいなのかな。


　


布団を抜け出して、部屋の窓辺に移動させたソファに座り込む。


　


カーテンを少しだけ開けると、今夜は満月だった。


　


　


　


『……帰ってきたんだ、な…』


　


　


　


誰に聞いてもらうわけでもなく、独り言を呟いて。


　


眠っている兄さんたちを見ると、なぜか泣きたくなる衝動に駆られた。


　


　


　


「…A…？」


　


『…っ、あ…カラ松兄さん…』


　


　


　


起こしてしまったのだろうか。


　


他のみんなが起きないように静かな声で私を呼ぶ次男。


　


　


　


『ごめんね、起こしちゃった？』


　


「いや…たまたま目が覚めただけだ。それよりそんなとこで何してるんだ？寒いだろ？」


　


『…考え事』


　


　


　


まだ布団に入りたくないとでも言うように私は窓の外に目を向ける。


　


そしたらいつの間にか、兄さんが隣に座ってた。


　


　


　


「…変わってないな」


　


『え？』


　


「Aが“考え事”って言う時は、大体泣きたい時だ」


　


『…そうだっけ』


　


　


　


自分じゃ気が付かなかったけど、カラ松兄さんが言うなら本当かも。


　


小さい頃から一番頼りにしてたのは次男の兄さん。


　


優しくて、人の痛みに敏感で、誰よりも兄弟を思ってくれている人。


　


私も自然と甘えていたのは彼ばかり。


　


まあこれだって、今も変わってないんだろうな。

おいで→←嬉しーよ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す