【おそ松さん】本物のおフランス帰り

親友 ページ11

〈おお！Aの力量には驚かされるよ！〉


　


《ありがとうございます》


　


　


　


日本を離れて二年。


　


フランスに来た頃は言語とか文化とか習慣とか、戸惑うことばかりだったけどそれも慣れて。


　


それなりに充実した日々だった。


　


とくに目的としていたコックとしての力は、思った以上に評価された。


　


努力が実って、嬉しい。


　


大変だけどね。


　


　


　


〈そうだ、Aを欲しいという店があってね…〉


　


　


　


フランスで有名なレストランの名前。


　


いや、フランスに留まらず世界中で知られているようなところから雇いたいという言葉をかけられた。


　


当たり前だけど、“よっしゃ！！”ってガッツポーズが出た。


　


翌日にはそこを見学させてもらって、ここで働かせてもらえると思うと鳥肌が止まらない。


　


詳しい話は後日に、ということで借りているアパートへ帰宅。


　


そのアパート前での出来事だった。


　


　


　


「……A…？松野A！？」


　


『…え？』


　


　


　


泣きながら私に抱きついてきたのは日本にいるはずの親友。


　


彼女は“助けて”ってすがりついてきた。


　


事情を聞くと、高校の頃からバイトをしているお店が潰れかけている、とのこと。


　


なんでも店自体の評判は良いが、最近入った厨房スタッフが客と揉めて辞めたらしい。


　


その後をやってくれる人を募集しているところだけど、店の近くにもっと給料が良くて待遇も良いレストランが造られるから、なかなか人がやって来ない。


　


そのうち収入も少なくなって、お店を続けられる状況じゃなくなった。


　


そして親友は料理の上手い私を探しにここまでやって来たらしい。


　


……正直大変！とかよりも、お前の行動力やべえなって思った。

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