ロンリーオンリーパラダイス

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『今日行ったんですけど、携帯の充電切れちゃって写真撮れなかったんです。
でもすごく美味しかった！スープが特に！』

そう返事をすると、すぐにまた返事。

『そうですよね？最近行った中では一番おすすめだったんだよな』

『いいところ教えてもらって、ありがとうございました』

それからは特に何も返ってこなかったから、携帯を置いてシャワーを浴びに行こうと思ったら、今度はラインの通知音。

見ると藤ヶ谷くんだった。

これから再来週に向けて、いろいろと打ち合わせしないとだめだから連絡先を教えてください、って言われて。

私の充電が切れていたから、とりあえずIDだけ教えたんだった。

『Aさん、今日はありがとうございました。
とりあえず再来週に向けて敬語はなしで。
俺のライン追加しといてね』

アイコンは海の写真だった。

男の人とライン交換したのなんて久しぶりだな、とそれをまじまじ見ながら思う。

『追加したよ。敬語はなし、了解』

それだけ送ると、今度こそシャワーを浴びに行く。



熱いシャワーを浴びて出てくると、冷蔵庫からビールを取り出して、いそいそとソファに座ると、ユウタが表紙の雑誌をめくる。

「あああ……癒される……」

ユウタのくるくる変わる表情を見ながら、ビールを飲んでいると、また携帯の通知音。


「もうー、今至福の時なのに」

見るとまたキタミツさんからDMだった。

『8チャン見てます？』

8チャン？

テレビかな？

リモコンでテレビをつけて8チャンにチャンネルを合わせると、「まだ知られていない秘密のラーメン屋特集」だった。

これは見なければ！

ユウタちょっと待っててね！


『見てませんでした！今から見ます！』

　
さすがキタミツさん、いい番組知ってる！

キタミツさんが教えてくれるお店はどこも本当に美味しくて、はずれがない。


来週行くお店はこの中から選ぼうかなあ。

今週は魚介系だったから、来週はこってり系にしよう。

行きたいところの目星をつけながら、最後まで見た。


『行きたいところありました？』

『はい、来週行ってみます』

『お！じゃあ俺も来週行ってみます。
もしかしたら会うかもしれないですね』


会うかも？


でもどこに行くとは言ってないし。

お店はたくさん紹介されていた。


『会えたらすごいですね』

当たり障りなくそう返すと。

キタミツさんも、特にそれ以上言ってこなくて。


そんなやり取りをしたことすら、すぐに忘れてしまった。

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