麗のゴミ箱 (ページ6)

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大掃除2 ページ6

『平成＊＊年度聖ロザリオ女学院卒業アルバム』

黒い背景に金字で彫られたものを見た時、手が、震えた。これは、散々アイツが隠していた過去の…有力な情報に繋がるものだ。
隣にいた新人メイドには俺が後は全てやる。と言って半ば無理矢理部屋から出した。
俺はごくりと喉を鳴らし、あまり力の入らない表紙を手に挟み

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『学校長式辞の言葉』

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『聖ロザリオ女学院卒業アルバム』

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『卒業生一覧』

これだ、割とあるクラスを順番に、丁寧に見て回る。最後の方に差し迫った時に、黒薔薇蝶と写真の下に書かれたものを発見した。しかし、なんだ。まるで、別人のような。
顔のパーツはまんまそれだが今より痩せて、目に活気はなく、それ以前に髪の色も目の色も違う。狼狽えた、一体俺との空白の時間に何があったのか。驚きの光景で視界がくらっとピントが外れた。
疑念と好奇心から、またページを捲る

『卒業文書』

ここからはもう躊躇いもなにもなかった、俺を突き動かしたのは俺自身。俺はすぐに妹のページを探した。卒業文書っていうと、長ったらしい文を書かなければいけないはず。他の奴はみんなそれぞれの事を思い思いに書いているのにも関わらず、妹のは沢山の空白を埋めずに上段だけがインクで黒くなってた

“私は決められたレールに沿って動くことしかできません。“ 黒薔薇蝶

唖然、絶句。淡々とした悲嘆がこの文からひしひしと伝わってきた。俺は暫くこの文に心が囚われていた。

空白の年数は長すぎた、俺は卒業アルバムをリュックにしまい最後の一冊まで片付けると何事もなかったかような態度を取って大掃除を手伝った。
俺はついに、彼女の過去と向き合うべきだと思えた。散々隠していたからこそ詮索しなかったものを、自身は知る権利があると思えた。目の前で親父と仲良く喋る妹を見て、揺らぎない決意が口を動かした。

「今からでも遅くない」