麗のゴミ箱 (ページ1)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:287 hit

黒薔薇蝶としてページ1

(語り手黒薔薇蝶？)

一番の親友、そうチャット画面で表示されてある画面が真っ白く映ります。携帯の画面越しに映る顔は確かに失望と絶望のミックスソフトでした。
切り裂かれる殺人鬼の心、亀裂が入った愛を渇望する心。それを静かに受け入れながら静かに瞼を下ろすのでした、美しき悲しい恋の物語。黒薔薇蝶はある日とうとうペンダントを砕き自ら命を絶っていました……

それは私しか知り得ないことでした。赤くヒビ割れた死体は、血管が浮き出ていて美しいというより気味悪かったと思います。

「ああ、みんな。ご機嫌麗しゅう。」

素朴な木の扉を開けると「アタシ」を知る者は沢山おりました。友達と呼んでくれる子がアタシを出迎えてくれます。
絶えぬ挨拶を聞きながら今日の面子を失礼がない様さらりと確認するとその中の一人が不思議そうにアタシを見つめて来るのです、はて。どうしたのでしょうこの子は。その事を聞いてみたらその子はアタシのスカートを指差して「キラキラしたものがついてる」と教えてくれました。

…ああ、アタシったら。ちゃんと身嗜みは整えないと。赤い宝石に銀色の金属がついた欠片をハンカチ越しに取って見つめてみました、間違いありません。

「教えてくれてありがとう♡」

欲しいと強請るその子をステンドグラスの欠片だから危ないとか宥めながら、代わりに身につけていたサファイアのイヤリングを手渡し満足したのか離れて行きます。
………良かった。忌々しい赤い欠片はゴミ箱にさっさと捨ててしまいました、やけに主張してきたギラギラとした輝きは、先程渡したサファイアの海の光を彷彿とさせる優しい光沢とは異なっていた様に感じます。やはり青だからでしょうか、赤い光と堂々に憎たらしい双子の片割れを思い出してしまいました。あの一点の曇りなき外見も内面も、アタシにとって羨望の眼差しを向けることしかできないのを知っていての様で気に食わない。

そんな暗い思考もお構いなしの呼び声に、出来るだけの笑顔を向けてそちらに向かいます。