【松岡凛】ばーか (ページ11)

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番外編【幼き頃の思ひ出】ページ11

◯

「おい、ハルー。早く来いよお」

「…凛が急ぎすぎだ」

スイミングスクールでの練習が終わった後、俺とハルと真琴で公園に遊びにきていた。

すると、突然音楽と異常に揃っている足音が聞こえた。

「なんの音だろう？」

「見に行ってみようぜ！」

「あっ、ちょっと凛！」

俺が走って音のする方向へ行くと、真琴とハルもついてきた。

綺麗な花が植えられている花壇の横から覗いてみると、3人ぐらいの踊っている女子がいた。

「ダンス…？」

「あっ、あれAちゃんじゃない？」

真琴が指差した先には、本当にAがいた。

いつものAとは見違える程雰囲気が違って、一瞬気づかなかった。

普段はずっとニコニコしてて、どちらかというとふわふわしているのに、踊っている今は鋭い目つきをしている。

「かっけー…！」

「！
そっか。凛はAちゃんが踊ってるところ、見たことないんだっけ」

俺“は”？

「真琴達は見たことあるの？」

「うん、何回か大会を見に行った事はあるよ」

Aがステージで踊ってる姿…いいなあ、俺も見てみたい！

「じゃあA、私達は帰るね」

「お疲れ〜」

『うん、お疲れ』

練習が終わったようで、一緒に踊っていた女子2人は帰り、Aは1人になっていた。

『…？あ、りんちゃん！』

あ、気づかれた。

『まこちゃんとはるちゃんもいるじゃん！どうしたの？』

「音楽が聞こえてきたから、気になって」

「俺たちもう帰るから、Aちゃんも帰るんだったら一緒に帰らない？」

真琴が提案すると、Aは『うん！荷物とってくるー！』と、走って行った。

数秒で戻ってきて、俺たち4人は並んで公園を後にした。

⚪︎

後ろにハルと真琴がついてくる形でAと話していると、ふとさっきのことを思い出した。

「Aのダンス、ちょーカッコよかった！」

Aは驚いた後、すぐにニパッと笑った。

『えへへっ、りんちゃんにそう言ってもらえると嬉しいなぁ〜！』

頬を少し赤く染めて照れているAの表情は、年頃の男子小学生にはそそるものがあった。

『私お使い頼まれてるからこっち曲がる！』

Aが指を差した方向は、俺の帰り道だった。

「俺もそっち」

『え？！そうなの？！』

Aはとても驚いている。

「じゃあ俺たちは帰ろっか、ハル」

「ああ」

「じゃあ、またねー！」

『ばいばーい！』

⚪︎