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「今日混んでんねー、なんでだろ?」
倫也先輩がプレートを持って私の元へやってくると、あ、という顔をした。金髪の後ろ姿と、私の隣に座る俗に言うギャルな女の子に目をやって。視線をあげる私。
店内を見回して、空いてる席を探してくれてるようだった。両肩を少し上にあげて、他は空いてないなーって言うのを私に目線だけで伝えてくれる。椅子をひいて席に着くと、
「んー。テイクアウトにすべきだった?」
と眉を少し下げて首を傾げた。
「ううん、大丈夫、です」
本当に?
わからない。
倫也先輩が、嫌かな。
「倫也先輩が、」
と、言いかけると、
「俺はいい、ここで。むしろ」
と、通る声で私に伝えた。菅田がぴくっと反応した気がするのは気のせいだと思う。
「将暉、はーい、ポテト!あーん!」
「.....、あーん♡」
「倫也先輩、日曜、は、なんの映画見ます?」
「あー、Aが見たいのでいい。何がいい?」
「そーだ!私ね、今日テスト返ってきたの、なんと!!45点!赤点じゃなかったの!すごくない?」
「わははは。すごないわ、アホやん?」
「んー、じゃあ、調べておきます」
「そうして?その日、うちの親旅行行ってて、兄貴もサークルのなんかあるらしくて、誰もいないから」
「この後、将暉のお家行く?雨だし、」
「せやなー、ええけどバリ散らかってんで」
ざーざーと、雨脚は強くなるばかりで、窓を打つ雨の音で、会話がかき消されればいいのに、そうもいかない。
ちょっとお化粧室、と、席を立ったS女の女の子。
一瞬の静寂がおとずれる。
「いよいよとって喰われるねんなー」
と、菅田は宙に向けてそう言って、私でなく倫也先輩を見た。
「なあにそれ」
倫也先輩はとぼけたように言って、片方の口角だけあげて笑う。けど、目は笑っていない。
「どうぞお手柔らかに、処女なんで、そちら」
「...........、喧嘩売んのやめろ。好きなの?Aのこと。はっきりしろよ、この際」
「ちょ、あのっ、」
黙って、と、倫也先輩は私を一瞥する。
ファストフードの一角で、
ライオンと、狼が。
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ヨーコ(プロフ) - ドキドキ止まりません!最高です!更新楽しみにしています♪ (2020年4月4日 20時) (レス) id: b9e84898e5 (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - ゆんさん» ありがとうございます〜!楽しみにしていただけて嬉しいです。そろそろ終わりに向けて、と思ってますが、もう少しお付き合いくださいませ♪( ´▽`) (2020年2月6日 21時) (レス) id: 55b0c33bda (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - ショウさん» いつもありがとうございます〜!寒いの苦手なのは倫也さんのリアルを意識してみました( ´ ▽ ` )もうしばらくお付き合いくださいませ! (2020年2月6日 21時) (レス) id: 55b0c33bda (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 更新とても嬉しいです!題名が2匹と書かれていたのでドキドキしながら読みました!そのさんの作品を見るのが今の私の楽しみです!少女漫画のようにきゅんきゅん毎回させてもらえて幸せな気持ちになります!これからも応援しています! (2020年2月6日 15時) (レス) id: 57aaad4ad9 (このIDを非表示/違反報告)
ショウ(プロフ) - 感想遅くなりましたが、らいおんの告白とても胸に響きましたっ!2匹のやり取りの続きもとても楽しみに待ってます、おおかみが寒がりなところ保温ポット愛用されてるのでピッタリですね 笑 (2020年2月5日 15時) (レス) id: bd7e526c97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:その | 作成日時:2019年12月10日 12時