第169話 ページ21
「改めまして、Miraと言います。どうやら、私のせいでお騒がしくしてしまったようで、ごめんなさい。」
礼儀正しくお辞儀をするMiraの腕を引いて、Willeはこの場を離れようとしている。Miraは引きずられるように、彼の後を着いていく。
「ちょ、ちょっと！Wille！」
止める暇もなく、彼女たちは居なくなってしまった。Friskが慌てた様子でPokerに駆け寄る。呆然としていて、Friskの顔を見ていない。Pokerの頬を両手で触れて、自分の方に顔を向かせた。
「おかえりなさい、頑張ったね。」
Friskの顔が視界に入る。帰ってこれたら安堵と、気を許し始めていた友のことを思い出す。
「……っ……ぁぁ…………ああぁぁぁ！くそ、クソッタレがっ！！！」
嘘つきだ。彼女は大嘘つきだ。嘘つきなんて大嫌いだ。
『Poker……Willeを連れて先に行って。大丈夫、Miraを連れて追いかけるから。』
初めて名前を呼ばれた時から嫌な予感はしていたんだ。消えるつもりなんてないって、誰かのために死ぬなんてごめんだって、そう思ってたはずなんだ。ああ、くそっ。嘘をつかせた俺も、大嫌いだ。
「お礼くらい、言わせてくれよ、馬鹿野郎。」
嘆き続けるPokerをFriskはただ抱きしめていた。CharaとDreamは気まずく感じてその場から離れる。
＊
Anti-voidより。Errorは青いクッションの上でいつもの様に編み物をしている。その反対側では、今にもインクが切れそうなInkがいた。
「いつまでここに居るつもりだ？今頃Pokerは戻ってきてる頃だぞ。結末ぐらい見てこいよ。お前の好きな物じゃねぇか。」
「…………。」
返事はなくただ蹲っている。流石に感情のないInkに付き合うのは面倒くさかった。青い糸で拘束し、外へと放り投げた。行先はWILLETALE。Inkの顔は僅かに歪んだように見えた。しかし、追い出された以上、戻っても同じことだ。
「……飲んでおかなきゃ。」
しまっていたインクを取り出して飲み干した。気持ちを切り替えて、この世界の様子を見ることにした。
ニンゲンもモンスターも日常は何も変わらない。けれど、もう、Miraも、Willeもいないのだ。
「ね、ねぇ！Wille！どうしたの？なんで、そんなに！」
聞こえるはずのない声が、耳に届いた。Inkは目を見開いて声の聞こえた方を見た。そこにはMiraの手首を掴んでズカズカと歩いているWilleがいた。
「Mira？Wille？」
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あゆさ(プロフ) - leiさん» ありがとうございます！とても嬉しいです！励みになります！！ (2022年5月26日 23時) (
レス) id: aa986c6595 (このIDを非表示/違反報告)
lei(プロフ) - 初コメ失礼します！あゆささんの作品本当に面白いです！とても応援しています!(^^)! (2022年5月26日 17時) (レス) id: 005bcc4d2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あゆさ | 作成日時：2022年4月13日 21時
