第168話 ページ20
でも、彼女は、あそこで消えたかったわけじゃない。ちゃんと、地獄へ落ちて逝きたかったんだ。それを、邪魔されてしまった。
「……もう、行こう。」
ここで彼女を待っていたら、きっと怒るだろう。いつまでも、長い夢を見ているな、と。
「……ちゃんと、地獄に行けた？一人で大丈夫だった？」
どんなに聞いても答えは返ってこない。返ってくるはずもない。Miraはあの場で塵となって消えてしまったのだから。
＊
外の世界に出たあとも、Willeは狭間の世界に戻ろうと必死だ。CharaとDream、Pokerの3人でなんとか止めてはいるが、突破されるのも時間の問題だ。その時、狭間の入口が現れて、扉が開かれた。中から出てきたのはMiraで、憔悴しきっていた。
慌てたようにWilleはMiraの身体を支える。実体がある事に驚きながらも、Willeは安心すると共に、Miraの事を強く抱きしめていた。
「Mira……Mira……。」
「……ただいま、Wille。独りにしてごめんね。」
Pokerはほっとすると同時にハッとした。開けられた狭間の扉を見る。扉は何事もなく閉まっていく。手を伸ばし、取っ手を掴もうとするが、その前に扉は閉じてしまい、消えてしまった。
「＿＿＿Third……っ？」
扉があった場所を探るが、触れられもしない。狭間への扉は閉じられた。Thirdがいなければ見つけ出すことが出来ない。
「Mira、Mira！Thirdは！？」
Miraはただ困惑したように、Pokerを見る。Miraの肩を掴もうとした時、WilleはPokerが触れる前にMiraの肩を引き寄せて抱きしめた。
「触るな。」
「っ……。ちがう、俺は、俺はただっ！」
「？ Wille。Pokerと知り合いなの？それに、私の名前……どうして君が？」
Miraは不思議そうにPokerを見る。その反応を見て周りにいた者はみな、目を見開いた。確認の為、今まで何をしていたか覚えているか、と問いかけてみる。Miraは困惑しながらも、ぽつりぽつりと話し始める。
「私はお墓参りに来ていて……。花に水やりをして、終わって帰ろうとしていた、よ？うん、えっと、それくらい、かな？」
本人も記憶が曖昧なのか、確かめるように言葉を紡いだ。Pokerに襲われる前の記憶だ。だが、Pokerのことを覚えていないのはおかしい。それより前の日の記憶を思い出しているようだった。
「……暗い暗い闇の中に落ちちゃったんだね。そのせいで、記憶に穴が空いちゃったみたい。」
MiraはWilleから離れると、軽く身なりを整えて、Pokerたちに笑いかけた。
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あゆさ(プロフ) - leiさん» ありがとうございます！とても嬉しいです！励みになります！！ (2022年5月26日 23時) (
レス) id: aa986c6595 (このIDを非表示/違反報告)
lei(プロフ) - 初コメ失礼します！あゆささんの作品本当に面白いです！とても応援しています!(^^)! (2022年5月26日 17時) (レス) id: 005bcc4d2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あゆさ | 作成日時：2022年4月13日 21時
