第50話 ページ50
そういってKillerはナイフを取り出した。思わず身構えるPokerだが、Miraは臆せず、Killerから素手でナイフを奪った。すると、不思議なことにそのナイフは消えたのだ。
「だめです。」
「だめかー。」
ケラケラと笑うKiller。仕方ないといった様子で彼は街の探索に戻る。Pokerの傍を横切る際、Miraに聞こえないよう耳打ちをする。
「ここで騒ぎ起こしたら、殺すから。覚悟しといてね。」
物騒な言葉を残して、人混みの中に消えていった。なんなんだ、あいつ。そう思いながらもPokerは関わらないようにすることに決めた。
「ごめんね。不快な思いをさせて。」
「いや、君のせいじゃない。」
「ありがとう。Pokerは優しいね。」
そう言ってMiraは笑った。こういう性格だから色んな世界の人と仲良くなれるのかもしれないな、と納得した。Miraはカバンに着けていた懐中時計を見る。
「そろそろ子供たちが帰ってくる頃だから、近くの公園で待ってない？」
ようやく、あのニンゲンに会えるらしい。世間話をしながら、小さな公園に辿り着く。Inkは一人でブランコの上の方でブラブラしてる。遊び方違くないか？と突っ込もうにも子供たちが楽しそうに囲んでいるから何も言えなかった。
「ふふっ、どっちが子供だか、わからないね。」
「確かに。」
微笑ましそうにその様子を見る彼女は本当に大人っぽい。Pokerの視線に気付き、少し恥ずかしそうに「なに？」と無邪気に笑う。こういうところはまだ幼いかもしれない。「なんでもない」と誤魔化したところで、MiraがPokerの後ろの方を覗く。
「あ、来たきた！おーい！」
「Mira姉さーん！！！」
その子供は勢いよくMiraに抱きついた。彼女は姿勢を崩しそうになるが、なんとか持ちこたえ、ニンゲンを受け止めていた。
「紹介するね。この子はChara。」
Charaはゲッと言う顔をしてギロっとPokerを睨む。その姿は昨日のWilleを思い出させる。本当に、Mira以外、誰にも歓迎されていないような気がするなぁ、とPokerは弱音をこぼしそうになるが、なんとか堪える。
「……あー昨日のスケルトンか。帰ったんじゃなかったのかよ。」
「……僕はPoker、よろしく。」
Charaは鬱陶しそうにPokerを見る。何故だろう。こいつ凄く嫌いだ。それに、昨日見たニンゲンと違う気がする。あの時、ニンゲン二人に、モンスターが一匹いた。Miraが勘違いして別の方を連れてきてしまったのだろうか？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あゆさ | 作成日時：2021年7月16日 19時
