第49話 ページ49
彼女は自分のことみたいに嬉しそうに笑った。余っ程この世界のことが大好きなんだろう。
午前中はあちこち歩き回って、案内をしてもらった。昼食はすぐ近くのファミリーレストランで、会いたいと言っていたニンゲンは学校のため、まだ帰ってこないのだと言う。
「大体案内は終わったんだけど、まだ時間があるんだよね。どうする？」
「……大人しく家で待ってた方がいいかと思うんだが。」
「えー、もうちょっと外に居ようー。ショッピングとかしよー。」
イレギュラーである自分にここまで親切にしてくれたんだ。これ以上迷惑をかける訳にはいかない。何処かでじっとしてた方がいいだろう。というか、Ink、目的忘れてないか？
「あれ？Miraじゃん。今日休みじゃなかった？」
ひらひらと軽く手を振るスケルトン。何故だろう。あまりいい印象は持てなかった。Miraは彼の方に向き直り、普通に笑いかける。
「休みだよー。お客さんを案内中かな。」
「あー昨日、Inkと一緒に入ってきたやつね。」
「というか、監視は？いないとWilleに怒られちゃうんだけど。」
「ん？あーいるよ。ほら、これ。」
そのスケルトンのフードが揺れた。そこから現れたのは小さなスケルトン。サイズで言えばテニスボールくらいだろうか？
「ええ……何それ可愛い！」
あまりの可愛さに目を輝かせるMira。PokerとInkはその感性がわからず、思わず引いてしまう。
彼の名前はKiller。そして小さなスケルトンはNightmareというらしい。本体は別にいるらしいが、今はこの姿でKillerにくっついている。
Miraは監視と言っていたので、彼らもまた何かしら契約をしてるのだろう。どうやらこの世界はほかの世界と色々と関わりあっているようだ。
「勿論、私たちの世界は大事だけど、外の世界の人とも仲良くなりたいんだ。」
一方、Willeの方は彼女の意見に猛反対。仲良くするのはいい、他の世界に遊びに行くのも問題は無い。だが、この世界に入れることになると、途端人が変わったように猛反対する。
なるほど、とPokerは納得した。だから自分も受け入れられなかったのだと。申し訳ないことをしたなと思いつつ、そんなの迷い込んだ奴はどうすればいいだよ、と呆れた感情を抱くのだった。
「…………うーん、僕、そいつあんまり好きじゃないな。他の世界の住人だし、殺していい？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 6人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あゆさ | 作成日時：2021年7月16日 19時
