FATALE (ページ47)

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第47話ページ47

指差してこいつ呼ばわり。確かに彼らからすれば、彼は異物そのもの。しかし、それにしたってWilleの態度はなんとかならないものか。口には出さないものの、Pokerは不満を抱いた。

「あはは……流石Mira。相変わらずのお人好しで。」

「あ、あの！それで僕の世界って。」

「FAtale。」

FAtale。それがPokerの世界の名前。誰も聞いたとこがなくて首を傾げる。Inkまで首を傾げるのかよ！とPokerは思わずツッコミを入れたくなる。

「まぁ、あの中から探し出すのは大変でしょうね。」

クスクス笑ってお茶を飲む。気の遠くなる作業だろうな、とPokerは顔を歪める。しかし、わかった以上、行動を起こすしかない。一刻も早く帰りたいのだ。

「……話は終わり？じゃあ、私は帰らせてもらうね。」

「ええ！？もう行っちゃうの！？僕とも話そうよ！」

「えー……私、寝たいんだけど。」

「友達との再会より、私利私欲！？」

「寝不足なの。明日は仕事だし、休んでおきたいの。」

そういってMiraは立ち上がる。そんな彼女に合わせるようにWilleも立ち上がった。Inkは立ち去ろうとした彼女の手を掴む。Willeは明らかな殺意をInkに向けた。

「うっ、そんなに睨まないでよ。」

「……はぁ。」

Miraの溜め息を聞いたInkはビクリと肩をふるわせる。彼女は手元を顎の方に運び、考える仕草をする。暫くして、Inkの方を向き直る。

「私もInkに会えたのは嬉しいし、皆で一緒に街回る？」

「！本当！？」

「ちょ、ちょっと待ってくれ！僕は、今すぐに帰りたいんだ。だから！」

顔を上げ、Miraを見た瞬間、彼女は一瞬悲しそうな顔を浮かべた。え？ともう一度、顔を見ると、彼女は微笑んでいた。気の所為だったのだろうか。

「Poker、君はいま記憶が無い。その状態で戻ってもきっと困惑してしまうだけだよ。少しでもこの街で過ごして、大切なことをひとつずつ、なんでもいいから、気になることを、気に止めていて。」

全部思い出すことが出来なくても、この世界の気にかかることを気に止めて、自分の世界での違和感を無くすことが大事だと彼女は言った。確かに、そうなのかもしれない。自分の兄弟を、友達を、思い出せるかもしれない。似た人物がいれば尚更。

「……そうだ、僕。ニンゲンに会いたい。」

三人はキョトンとした顔をする。Inkは言いずらそうに、Willeは呆れたように、Miraは苦笑いを浮かべる。そこで自分の発言を振り返り、ハッとする。