FATALE (ページ38)

今日:18 hit、昨日:1 hit、合計:5,737 hit

第38話ページ38

Miraは慌てたように取り繕うが、Sansにはもうお見通しだった。困ったような顔を浮かべて、道のりを歩く。

「まだ確定したわけじゃないから、黙っていて。」

「構わないが、Willeは黙っちゃいねぇだろうな。」

へへっ、と可笑しそうに笑うSansに、Miraは本当にその通りになりそうで、思わず肩を竦めてしまった。

＊

Metatonが司会進行を務める会場。遠目からその様子を見つめるPokerの瞳は輝いていた。いつか自分もこんな風に、沢山の人にパフォーマンスを見せたかったような、そんな気がするのだ。

「……この世界は平和だな。」

「えへへ！気に入ってくれた？」

「気に入るな。そして金輪際来るな。」

「もうー！Willeは頭が硬いよー！」

InkとWilleが言い合いするのを呆れながらも、Pokerはパフォーマンスを見る。ダンス、歌、劇。本当に素晴らしいパフォーマンスだ。

【…し…………の、……ク……たの……してる】

雑音混じりに、何が聞こえた。PokerはInkとWilleを見るが、彼らはずっと言い合っている。二人ではない誰かが、何かを話していた？

だが、ここにいるのはPokerを含めて三人だけ。もしかしたら、昔の幻聴を聞いてしまったのかもしれない。うまく聞き取れなかったのを残念に思いながらも、Metatonたちのショーを目に焼き付けていた。

いつの間にか、夕方になり、空は茜色に染っていた。ショーも終わり、みな家へと帰っていく。それに乗じて、Willeはいい加減帰りやがれ、という目でInkたちを見る。

「えー僕、君たちに会いに来たのに。今日全然喋ってないもん。」

「契約破っといて、許されたってのに我儘なんだよ。」

この二人、何時まで喧嘩してるだろう？呆れて言葉も出ないPoker。そこへSansがやってくる。

「よぉ、なんだ。まだ客人がいたのか。」

「え！？Original！？」

「ん？あーいや、オイラは違うらしい。性格はそのままだが、Originalの世界とはまた別の時間軸だからな。」

Ketchupとでも呼んでくれ、とSansは言った。たまにこういう事もあるらしい。見分けの付けようがないな、これは、とPokerは難しそうな顔を浮かべたままだ。

「Wille。Miraが二人だけで話がしたいとさ。」

「え！？なにそれずるい！！僕も二人だけでゆっくり話したい！」

「誰がお前とMiraを二人きりにさせるかよ。」

WilleはSansと目を合わさる。Sansは肩を竦めるだけ。Willeはため息をつきながら、仕方ないかと言った様子でその場から消えた。