第31話 ページ31
ブラスターをしまい、Inkを睨みつける。そんな怖い顔しないでよ……と言われたが、それは無理な話だった。今は任務の最中、Inkに邪魔されては堪らないからだ。
「失せろ。」
「ちょ、ちょっと待ってよ！僕、困って…ムグッ。」
Inkの煩い口にパンをぶっ込む。休憩用に貰ってたものだが、必要なかったのでInkの口を塞ぐのに使った。
「俺は今、任務中だ。もっと小声で話せ。」
Inkはパンをモグモグしながら頷いた。ここで立ち止まる訳にも行かないので、歩きながら話すことになった。
パンを食べ終えたInkの口からとんでもない事を言われる。この世界に来る際、あのAUも一緒に来てしまい、はぐれてしまったのだと言う。Willeは今すぐ叫んでしまいたかったが、そんな事をすれば敵に居場所がバレてしまう。
怒りを堪えながらWilleは道を進む。起こってしまったものは仕方ない。MiraとそのAUが会う前にInk共々、出て行ってもらおう。
「ごめん。怒ってるよね。こんなつもりじゃなかったんだ。」
「…………わかってる。」
本当は、わかってる。Inkだって失いたくないものがあるはずなんだ。だから、イレギュラーを自分勝手に連れてくるわけじゃない。忘れる体質にも関わらず、この世界のことに関しては慎重に行動してくれてる。
他のAUを連れてくる時も、必ずMiraに言ってから連れてくる。Willeからすればそれすらも鬱陶しいが、身勝手な行動では無いので見て見ぬふりをしていた。
「……と、そろそろ目的地だな。お前はそこで待ってろ。」
AlphyとSansが車の向かう方向を計算し、隠れやすそうな場所に目星をつけた。場所は三ヶ所。Andainのチーム、Muffetのチームでそれぞれの場所へ向かった。Willeもその一人である。
どうやら、Willeの行った場所がビンゴだったらしい。中では黒服の男たちが、銃やナイフを手に持っている。おそらく、バレた時のため、反抗する武器を手にしたのだろう。
「……ま、俺には無意味だけど。」
黒い糸を中に張り巡らせ、ニンゲンたちのソウルをぐるぐる巻きにして、拘束する。中では大騒ぎ。武器を構えようとするが、何故か自ら手を離してしまう。
Willeは糸で、人やモンスターを操ることが出来る。彼らに武器を手放させたのも、Willeの仕業だった。
「うわぁ、姑息。」
「お前のその口、縫ってやろうか？」
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作者名：あゆさ | 作成日時：2021年7月16日 19時
