FATALE (ページ30)

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第30話ページ30

Metatonの言葉を合図に、Miraは動き出す。今日は護衛も付けずに、次の会議すべき場所へ向かう。というのは建前で、デモを起こす主犯格を捕まえるための囮だ。

誰の注目もなく、一人で行動するモンスターと人間の仲介人。拐うにはもってこいのカモだ。

「(茂みに二人。物陰に二人。)」

通信機に連絡が入る。Alphyの声だ。彼女は街の監視カメラを全て把握していた。Miraの行く先に、ワゴン車があるとの事。

「中の人数はわかる？」

小声でそう呟いた。Alphyの答えはNoだった。外に四人。ワゴン車となると、中で待機してるのは運転手ぐらいかな？と予想を立てる。その時だ、その近くにFriskたちが居るとの情報が入った。

「それ、やばくない？」

Miraは怪しまれないよう歩き続ける。ワゴン車が見えてきた。すると、そこには、今にも連れ去られそうなFrisk達がいたのだ。

「！作戦変更！」

Miraはワゴン車に向かって走り出した。しかし、茂みと物陰に隠れていた二人が出てきて、銃を向ける。

「く、来るなぁ！」

Miraは立ち止まる。一歩でも前に出れば、彼らに撃たれるだろう。ギリっと歯を食いしばる。四人は銃をこちらに向けたまま、ワゴン車に乗り、走っていってしまった。

「……トラブル発生。私の代わりにFriskたちが拐われた。Alphy、車の位置情報は？」

「大丈夫！追えてるよ！！」

「……了解。囮が変わっただけだ。みんな、落ち着いて行動しよう。あの三人なら大丈夫。私たちで助けるからね！」

通信機越しの会話。連れ去られたのはMiraでは無いと聞いて、安堵した自分を嫌悪する。

「(……この世界に受け入れられておきながら、彼女以外どうでもいいだなんて。)」

悪い癖だと自覚しつつも、彼の優先順位が変わることは無い。みな、自分に親切にしてくれる。他の世界から来たにも関わらず、あしらってるにも関わらず、それが個性なのだと、自分というモンスターを受け入れてくれた。

「(この癖が変わらなくても。)」

Miraの大切なものは守る。居場所も、仲間も、友達も。零さないように、誰一人欠けないように。例え、自分の身が＿＿＿。

「(いや、これは……ダメだな。Miraに叱られちまう。)」

「やぁ！Wille！」

突然目の前にInkの顔が現れ、驚いて思わずブラスターを放ちそうになるが、なんとか堪えた。ここに居ることが敵にバレたら困るからだ。