第28話 ページ28
Dreamは彼女から何かを受け取る。掌を見ると、そこにはお守りがあった。本当はFrisk達のために、Errorから教わって作ったものらしいが、まだ二つしか完成してない為、彼にあげることにした。
「君と、その大切な人へ。」
お守りをDreamの手に握らせ、そのまま両手で包み込み、祈りを捧ぐ。「どうか、君たちに幸あれ。」と、最後にギュッと力良く握る。
「私たちのことは気にしないで。こっちでなんとかする！君は、君の大切な人を守ってあげて。」
Miraにはわかる。いや、他の人にだって、Dreamの気持ちを理解してくれるだろう。大切なものを失う怖さ、失いたくないから抗う気持ちを、誰も踏みにじることは許さない。
WilleはじっとDreamの方を見るが、流石に邪魔をするのは気が引けた。彼女たちの仲は親友と言っていいほどの絆がある。自分の嫉妬を隠し、Dreamを見送る事にした。
MiraがDreamから離れる。Dreamはお守りをギュッと握りしめた。
「……ありがとうっ。」
泣いしまいそうなのを我慢し、彼はそう告げてWilletaleから去っていった。Miraは短くため息をつく。Dreamが帰って残念がっているのかと思ったWilleだったが、神妙な顔持ちだったので違うと思った。
「……Mira、本当はそのAUに心辺りがあるんじゃないか？」
「＿＿＿どうしてそう思うの？」
MiraはじっとWilleを見つめる。Willeは少し照れそうになりながらも、答えた。
「あんまり思い出したくないって顔してた。」
「…………多分、私の考えが当たってれば……。いや、ううん。今はそんなこと考えてる場合じゃない。」
Miraは近くの書類を取り出して、Willeに渡す。そこには驚きの計画が企てられていた。
呆れたようにMiraを見る。しかし、彼女は本気のようだ。
「……これで実行犯を釣るってか？」
「そう。名ばかりの実行犯。ちゃんと更生すれば、大丈夫でしょ。」
「俺はこの作戦に反対なんだが？」
「言うと思った。でもざんねーん。可決済みです。」
してやったり、という顔を浮かべるMira。そんな姿も大変愛らしいが、無茶ばかりするのはいい加減やめて欲しいと思うWilleだった。
＊
物音で目を覚ましたPokerは、Inkが何処かへ行こうとしているのを目撃した。気になって、Inkに声をかける。
「Ink？何処行くんだ？」
ギクリと肩を揺らし、振り返る。「え？え？何のこと？」とあからさまな嘘をついて逃げようとしている。Pokerは思わず顔を顰める。
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作者名：あゆさ | 作成日時：2021年7月16日 19時
