第26話 ページ26
「ところで、お前、最近顔を見せなかったな。Miraが心配してたぞ。何処行ってたんだ？」
「あ、えっと……知り合いのところだよ。久しぶりに会ったから、昔話に話が咲いて、ここの所、ほとんどその人のところに行ってるんだ。」
Willeはそれ以上深く聞こうとはしなかったが、なんとなく、Dreamもこの状況に巻き込まれつつあるのではないかと、不安になった。
「着いたぞ。今日は会議の予定もないし、部屋にいるはずだ。」
大きなビルを前にDreamは息を飲む。以前見た時より大きくなったような気がする。
「場所を移動しただけだ。借りてるのはこのビルの5階のルームだけだ。」
ビルに入り、エレベーターに乗り、5階へ辿り着く。エレベーターから降りると、誰かとぶつかりそうになる。少し驚いて声を上げると、それに気付いたその人はギリギリ止まった。
「あ、ごめんなさい！急いでて！」
山積みになった書類から顔をぴょこっと出す。書類を運んでいたのはMiraだった。Willeは彼女から書類を奪う。呆気に取られる彼女だが、ようやくこちらに気付いたようだ。
「Dreamだ！久しぶりだね。」
「おい。」
「ごめんね、いまちょっと急いでて！」
「おい！」
「それじゃあ、また後で。」
Willeは彼女を黒い糸で拘束し、重力で彼女を持ち上げ、部屋へと移動する。Dreamは不思議な光景を目にしながらも、苦笑いを浮かべてWilleのあとに続く。
「離してよ、Wille！私にはまだやることが。」
「ダメだ。部屋で休んでろって言っただろ？というか、見張りを頼んでたPapyrusとAndainは何処行った？」
「Papyrusはヒーローショーの時間で先に上がってもらった。AndainはAlphyとデートがあるらしいから上がらせた。」
Willeは頭を抱える。相変わらずMiraの相手には苦労してるらしい。最近、忙しくなっているという話を聞いたDreamはなんとなく状況で察していた。
「いいか？お前は働き過ぎだ。ちゃんと休め。倒れたら元も子もない。」
「大丈夫！人間、精神面は強い！」
「んなわけあるか。」
近くのソファに彼女を置き、ブランケットをかけるWilleは、彼氏と言うより母親にしか見えない。
「悪いな。Dream。話はこの状態で頼む。」
「……私は赤ちゃんか、何かか。」
Miraの目が虚無になりつつある。そんな彼女になんと切り出していいか迷ってから、最初は謝ることからにした。
「ごめんね。最近様子を見に来れなくて。」
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作者名：あゆさ | 作成日時：2021年7月16日 19時
