第22話 ページ22
少し気まずそうに頭を搔いた後、Inkをギロッと睨む。そっちはどうなんだ？と言いたげな表情だった。Inkはその目に耐えきれず、視線を逸らしてしまう。
「はぁぁぁ……ま、お前はそうだよな。いい加減、ケリつけたらどうだ？」
Mustardの言葉に言い返すことはせず、Inkは拳を握る。Pokerは居心地が悪そうに、あの、と声を掛ける。その様子を見たMustardは何かを察した。
「……そいつが悪いやつじゃなさそうなのはわかるが、他の世界を変に巻き込むなよ。」
「＿＿わかってるよ。」
「あの、それってどういう＿＿＿。」
突然、「Sans!!!」と、怒鳴り声が聞こえ、思わず反応してしまう。自分に怒鳴られた訳では無いのだろうが、同じSansである以上、そういう反応をしてしまうのは仕方がないだろう。
InkとPokerは顔を見合わせた後、Mustardの方を見る。彼の顔は先程とは違って、オドオドしていた。汗も大量に出ている。怒鳴り声がした方からは、Papyrusらしき人物がいた。PokerはコソッとInkに耳打ちをする。
「な、なぁ……あれ本当にPapyrusか？」
「うん、この世界のPapyrusだよ。」
そこは嘘でもいいから否定して欲しかった。Undertaleで出会ったPapyrusはとても印象が良かった。明るくて、素直で、優しい。だが、この世界のPapyrusは少し怖そうだと、Pokerは思った。
Poker達が会話している間に、MustardとPapyrusの間で口喧嘩が始まっている。喧嘩というよりは、一方的なものに見える。
「客人の前で失礼した。オレ様達はこれで失礼する。」
Papyrusはそう挨拶し、Mustardの首輪にリードをつけ、引きずっていく。Poker達に助けを求めているようにも見えたが、どうすることも出来なかった。
「…………ま、こんな世界なんだ。」
「いや、どんな世界だよ。」
あははー！と誤魔化して笑うInk。もう慣れてしまったとはいえ、やはり呆れてしまう。しかし、何となくではあるが、彼らは気性が荒くも、優しい面もあるのだとわかった。それは、この世界に落ちてきたニンゲンの影響でもあるのだろうか。
なら、負に満ちた世界でも、ニンゲンが落ちてくれば少しはいい方向に進むのではないだろうか。そう聞くと、Inkは目を伏せた。
「……そうだったら、良かったのにね。」
Inkはそれ以上何も言わなかった。Inkの顔はいつもに比べて暗かった。何か、聞いてはいけないことを聞いてしまったのだろうか？とPokerは少し反省をした。
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作者名：あゆさ | 作成日時：2021年7月16日 19時
