第18話 ページ18
UnderfellのSansはじっとPokerを見る。暫くしてため息をこぼした後、いいぜ、と言った。これ以上関わりたくないのか、背を向けて行ってしまう。途中で止まって半身だけ振り返る。
「あ、忠告しておくぜ？この世界では殺るか、殺られるかだ。気を付けるんだな。あと、変な気を起こしたら迷いなくぶっ殺すから。」
それだけだ、と手を挙げて本当に行ってしまった。Inkは頬を膨らませ、プンプンと絵に描いたように怒る。
「みんな酷いよね！」
酷いのはどっちなんだろう、と疑問を抱きながらも、今はInk以外に頼る奴がいないのでまPokerは考えるのをやめた。
一先ず、先へ進むと、スノーフルの町へようこそ、という看板が目に付いた。懐かしい気持ちに満たされながら辺りを見渡す。モンスターたちが不信そうにこちらを見ている。
「あーいつもこうなんだ。気にしないで。」
この世界は殺るか、殺られるか。彼の言った言葉をようやく理解した。けれど、みな敵意のある目で見るだけで仕掛けては来ない。この世界はどちらに当てはまるのだろう？幸せな時間軸なのか、不幸な時間軸なのか。
「ん？勿論、幸せな時間軸だよ！」
「……こんなに物騒なのに？」
その時、目の前の地面が青く光、槍が現れた。寸前で止まった為、ダメージを受けることは無かった。いや、そもそもソウルレスは死ぬのだろうか？
「貴様ら、見ない顔だな。いや、もう一人の方は、Sansと一緒にいたやつか。」
隣でうわーと、顔に出すInk。多分、今一番会いたくない人に会った顔をしている。魚のモンスター、黒い鎧を身にまとい、如何にも強力そうだ。
「……Sansの知り合いなら見逃してやってもいいか……いや、やっぱやめだ。何処の馬の骨かもわからんやつだ。この地下世界に居られると困るんでな。」
そういうと槍を構えた。しばらく身動きを取らなかったが、ジリと足を少し滑らせる。
「(来る！！！)」
一瞬で間を詰めて、槍を振るう。PokerとInkは左右に避け、次の攻撃に備える。
「ハハッ！こりゃ面白そうだ！」
＊
一方その頃、Willetaleの世界では。Torielはおやつの準備をしていた。皆のマグカップを用意し、お茶を入れる。入れたあとで気づく、カップがひとつ多い事に。最近仕事でなかなか帰ってこないのに、癖で全員の分を入れてしまったのだ。
「いやね、私ったら。」
「Tori、手伝うよ？」
「いいえ、大丈夫よ。もう入れ終わったもの。」
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作者名：あゆさ | 作成日時：2021年7月16日 19時
