第14話 ページ14
「……なら、直接話をつければ。」
Pokerの提案をなかったことにするように、Inkはまた「あっ！」と声を上げる。妙な反応に疑念が生まれる。「こいつ何か隠してるな。」と思った。Inkは嘘をつくのが苦手なのだと直感した。
「次はUnderfellに行ってみない？」
Underfell……Doodle sphereでは見ていない世界の名前だった。Inkが言っていた"彼女"がいる場所ではないだろうが、何かしら得る物もあるかもしれないと、彼の提案に頷いた。
「よし、じゃあ行こう！」
「気をつけていけよ。あっちのオイラは気性が荒いからな。」
オリジナルの忠告に頷いて、Inkと共にUndertaleの世界を後にした。彼らが消えたと同時にお店に一人のニンゲンがやってくる。みな、彼を囲い、ワイワイと賑やかになる。ニンゲンは挨拶を交し、友人たちの座っている席に近づく。
「Frisk！おかえり！学校帰りか？」
「うん。今日、いつもよりお客さん多いね？何かあったの？」
「あー、Inkともう一人客人がいてな、マジックを披露して行ったんだ。」
Friskは辺りを見渡す。薔薇の花びらが床に散らばっていることに気づき、一枚拾う。ふと、薔薇は本物でないことに気づく。どうやら造花のようだ。
「いいな。僕も見たかった。」
「あー……また会う機会があったら頼んでみるか。」
「うん！」
＊
一度、Doodle sphereに戻ってきた。Pokerの頭には？が浮かぶ。あのまま直接、Underfellに行くと思っていたからだ。Inkはこれ以上活動したら、感情切れちゃうんじゃない？と指摘する。そういえばと、少しだけ違和感を覚えていたことを思い出す。
「きっと、感情の持続時間は一日なんだよ。飴は大切に使ってね。なんて、マジックすれば手に入るから問題ないかな？」
そう言っていたInkだったが、Pokerは不安でしか無かった。ストック出来る分は貯めておこうと、飴を瓶の中に入れた。
「今日はもう休もう？慣れないことで疲れたでしょ。」
「……そうだな。」
Inkの言う通りだと思い、その場に寝そべるPoker。感情についてはこれでいい。ソウルがないから仕方ない。一時のものであっても、ないよりはマシだと彼は考えていた。
あとは自分の世界を探すこと。記憶を取り戻すこと。どうか、自分の世界は幸せでありますように、とPokerは祈りながら眠りについた。
「……Dreamのところに行ってみるか。」
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作者名：あゆさ | 作成日時：2021年7月16日 19時
