第13話 ページ13
InkはUndertaleへと戻り、Pokerを探す。辺りを見渡すが、彼は見当たらない。とりあえず、Sansが行きそうな場所を検討し、探し始めた。なんて、もう答えは決まっているようなものだが。グリルビーズに辿り着く。
「すっげぇ！Poker器用だな！」
どうやら当たりらしい。店の中央でマジックを披露する彼はやはり楽しそうだ。
「(……どうか、彼の行き先が幸せでありますように。)」
拳を握り、グリルビーズの戸をくぐる。中にいたモンスターやニンゲンたちがInkの方を振り向く。Pokerもそれに気付いたようで、最後の締めに入る。四枚のトランプのカードをみなに見せたあと、それを1枚にし、描かれている模様を見せる。赤い薔薇の花が描かれていた。それを指で軽く叩く。トランプは消えた。
締りの悪い終わり方にみなが不満げな顔をする。しかし、大きな勘違いだった。まだ終わりではない。
「それじゃあ、これで最後だ。」
ステッキを手にし、軽く降ると、周りに赤い薔薇の花弁が舞い落ち始めた。周りから歓声が巻き起こる。なんてロマンチックで、素敵なマジック。皆の心を射止めてしまった。
「Sansとはまた別の系統だな。」
「ああ、だが、いいものを見せてもらったよ。ありがとう、Poker。」
みなのお礼を受けながら照れながら笑う。Grillbyに話しかけて、お店を散らかしたことを謝っているが、本人は気にしている様子はない。
「よぉ、Ink。厄介事の種を置いてどこへ行ってたんだ？ん？」
圧力を感じながらも、Sansに謝る。しかし、用事というのは彼のことだったので見逃して欲しい気持ちでいっぱいだった。決して下心だけで動いた訳では無い。ほんの少し混じってるかもしれないが。
「Ink。遅かったな。」
「あー、うん、ごめん。」
Pokerはまたムスッとした顔に戻る。Inkは流石に限界だった。何故、自分の前ではそんなに表情が暗いのか、理由を問い詰めるも、彼は首を傾げる。
「いや、いつもこんな感じだが。」
「でも、マジックしてる時すごく楽しそうなんだもん！」
Pokerは呆然とする。楽しそう？本人に自覚はなかった。けれど、そうか、と安堵した表情を見せた。Inkにはそれがどう言った感情なのか理解出来ず、首を傾げてしまう。自分と同じだと思っていたInkだったが、微妙に違いがあるのだなと思った。
「で、どこに行ってたんだ？」
「友達のところ！何か君に関する情報持ってないかなって。でも彼女いま忙しいみたいで。」
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作者名：あゆさ | 作成日時：2021年7月16日 19時
