【UNDERTALE】決意と意志と奇跡

第44話 ページ44

「サンズにはそう言ったのに
嘘だったのかい？
それとも理由がわからない？」


「サンズに言ったこと嘘じゃないです
でも、今の私にはよくわからない
わからないけど、言葉にするなら
心震えるような物語を求めていたんだと思います」


例えそれがバットエンドだろうとも


自分の心に響くものが欲しかったのだと


「こんなことになるなんて思わなかった
サンズが私の目の前に現れるなんて」


「……話を戻そう
どうして心震える物語を求める？」


Aはその質問をされている


理由がわからないようだ


「本に求めるのと一緒じゃないですか？」


「それだけじゃないはずだよ」


「わからないです。自分のことのはずなのに
答えが見つからない。ゲームだから
楽しんでたのは間違いじゃないです
でも胸を痛めたのも嘘じゃない」


「……私には今の答え方が
君の答えだと思っているよ」


アイツはAの頭を撫でる


撫でられ慣れていないのか、彼女の体が硬直する


どうしていいかわからないといった表情だ


「君は自分の感情を理解したいのさ
楽しい感情、悲しい感情、憎い感情、怒りの感情
それらを全てわかりやすいように定義したい

けれど、感情は様々だ。愛おしいけれど憎い
大嫌いだけれど、守りたい
君はこの複雑な感情がわからないんだ」


「みんなにはわかるんですか？」


「いいや、分からない人だっている
理解できない人もね。けれど、さっきも言った通り
君はそれらを知りたいんだ

どうやら君は生きいるうちに
感情を何処かに置いてきてしまったらしいね」


「それは、私に感情がないってことですか？」


「違うよ。そうじゃなきゃ、君は殺したことを
後悔しない、そうやって泣いたりしない

歳を重ねるごとに感情は成長する
けれど君はその成長を拒んだんだね」


Aは何も答えない、けれど


どこか納得しているような顔をしていた


「その通りかもしれないです
傷つくのが嫌だったから
ずっと一人でいいって思ってました

一人じゃ生きていけないなんて言うけど
そんなことなかった。学校も、職場も
別に親しくなんかなくてもやっていけてた」


「……家族はどうしたんだい？」


「正直あんまり話さなかったのでわからないです
共働きだし、弟がいるけど、私も弟も
会話とかあんましないし」


暗い話が続く


それに耐えきれなくなったのか


Aは明るい話題を提供しようと必死だ


けれど、なかなか見つからないらしい

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