【志麻】小動物とビタースカッチ

42. 息が苦しい ページ42

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『…はい、紅茶でよかった？』


「あ、うん。…ありがとう」


ウチに志麻くんが来るのは二回目だ。


一回目は確か、私が歌唱部に入った日の放課後。


そのときは早く志麻くんに帰ってもらいたくて仕方がなかった。


『…なんか喋ってよ』


「だって、なんか恥ずいやん」


『え、なんでw』


志麻くんはプイッとそっぽを向く。


紅茶を勢いよく啜ったけど、「あっつッ!!?」と自滅していた。


「…あんなこと言われて、…両想いってわかって 緊張せえへん方が難しいわ」


そう言ってまた志麻くんは目線をそらした。その頬には 少し赤みがさしている。


胸の辺りが少しむずむずする。


私は志麻くんにそっと近づいて、後ろから抱きついた。


「わッ、…な、なに？」


『志麻くん、可愛すぎる』


女子の私よりずっと。何がかはわからないけど なんかキュンとした。


「こっちの台詞やわ…」


この体勢のまま、少しの沈黙が走った。


「……うわぁ、やっばい。めっちゃ恥ずかしい」


『志麻くん心臓バクバクいってる』


「マジで？今めっちゃ暑いわ」


そう言っている私も、すごく緊張してるし 鼓動もすごく早い。


息が苦しい。


『…志麻くん、好き。大好きだよ』


「俺も好き。…大好き」


でも、この苦しさはなんでか 幸せだった。







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