ガラクタ文庫 -薄桜鬼短編集- ３

present�鵺(斎藤一) 1 ページ45

※ガラクタ文庫２の『present』の続編となっております。


あぁ、もうなんで斎藤先輩はこんなにかっこいいんだ！先輩は私を殺す気なんだ！明日の朝のニュースで流れるんだろうな...女子高生が死亡。死因はキュン死ですってさ！


「そんなもので人が死ぬとは思えんが。」


心の声が漏れていたらしい。ため息とともに返事が返ってきた。おぅ...ひー いず そー くーる。
まぁそんなとこも素敵なんだけど。



お付き合いを始めて約３ヶ月。只今春休み中。休みが開けると、私は２年生に進級し、先輩は３年生受験生になる。受験生になったらなかなか構ってやれなくなるかもしれぬから、その前に遊びに行こうという、先輩からのデートのお誘いを受け私たちは水族館に来ている。


ちなみに先程かっこいい！と私は騒いでいたが、別に先輩は何か特別な言動をしていたわけではない。甘いセリフを囁いてくれたわけでも、不貞浪士から私を守ってくれたわけでもない。(え、そもそもそんなやつらこの時代にいないって？)ただ、私の隣を歩いているのだけなのだ。それだけで人をキュン死させることができるとは、なんて罪深いお方なのだろうか。


「いい加減その心の声がダダ漏れになってしまうそれを、どうにかしたらどうだ？周りの目が痛い...。」


うん。確かに周りから痛いものを見る目で見られるね。だけどね、その人たちも先輩を見たら、私の悶え、この抑えられない気持ちを理解してくれて、微笑んでくれるんだよ。これ、ほんと。



「あ！先輩、見てください！この子可愛いですよ！」


ハリセンボンを指さして言う。


「...。可愛いという形容詞なら、こっちとかの方が合う気がするが...」


先輩が指さしてるのは白イルカ。


「あーっ！先輩、ちょっとそこ動かないでください！はい、チーズ！」


白イルカと先輩のツーショット撮れた！！うん、綺麗に撮れてる。机に飾ろう。


「...あんたというやつは...。」


呆れられてるけど、このくせばかりはどうにもならないと思うの。


色とりどりの美しい熱帯魚、大きなサメ、ふわふわ浮かぶクラゲたち。生まれて始めてみるイルカのショーも堪能して、お土産コーナーに行き着く。


あ、可愛い！イルカのキーホルダー。でもこのキーホルダーは対になっていて、青いイルカとピンクのイルカをくっつけるとハートの形になるもので。先輩絶対してくれないだろうな。てか、お揃いにしてくださいって言うのもおこがましくて、言えないわ。そっと元の所に戻す。

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