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非常ベルが止まらない(斎藤一) 6 ページ44

...。


「...やっぱり傷が深かったのね!正気の沙汰じゃないもの。救急車を...」


...待て。正気の沙汰じゃないは流石に如何なのか。


「俺は本気だ!そして正気だ!」


だが彼女は眉根を寄せ、俺を可哀想なものを見る目で見て、取り合ってくれない。この指何本に見える?とか聞いてくる。


「信じてくれぬのか...?それとも本当は理解しているが、俺のことが...。嫌ならはっきり言ってくれ。」


「嫌じゃない。」


嫌じゃない...そうか。嫌じゃ...な?!


「嫌じゃないから困ってる。はじめくん、吊り橋効果って知ってる?きっとそれだと思う。」


吊り橋効果...恐怖、緊張などからくるドキドキをその体験を共にした異性に対してのドキドキだと勘違いして、恋していると思ってしまうやつか。


「違う。元々好意を持っていた。でなければ彼氏のフリなどもせん。」


「で、でも!いきなり結婚とかぶっ飛んでると思わない?真面目で堅物で朴念仁のはじめくんが普段そんなこと言う筈ない!」


...後半は悪口だろうか。


「真面目で堅物で朴念仁だろうが、言うときには言う。それに今は非常事態だ。いや、あんたを前にするといつだって非常事態になる。心臓が早鐘を打つ。まるで非常ベルが鳴るかのように。」


「...いろんな意味で重症ね。」


...あぁ。自分で言っていて恥ずかしくなってきた。穴があったら入りたい。いや、全力で穴を掘るからショベルカーをかしてくれ。


...ふふっというAの笑い声。顔をあげると、必死で笑いをこらえようと頑張っているが、こらえきれていない彼女。笑うことはないだろうとムッと口を開きかけたら、ごめん、ごめんと涙を拭いている。


俺の瞳を彼女の瞳が射抜く。


笑いをおさめ、微笑んでくる。それからぺこりと頭を下げた彼女。次の言葉に俺の思考は固まる。


「不束者ですが、宜しくお願い致します。それと...」


―非常ベルは鳴らしっぱなしにしておいてね?―


心配せずとも死んでも止まらぬだろう。

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雛月のえる(プロフ) - 可愛い恋だね!リリーラテさん文才ありすぎです!神以上です! (2015年3月1日 22時) (レス) id: fc66cd23d2 (このIDを非表示/違反報告)
雛月のえる(プロフ) - リリーラテさん» わかりました!楽しみに待ってます!リク、今回も受けていただき誠に感謝します! (2015年2月26日 23時) (レス) id: b493613181 (このIDを非表示/違反報告)
リリーラテ(プロフ) - 雛月のえるさん» ありがとうございます!土方さんの現代で書きたい題材があるのでそれを書かせていただきますね!m(_ _)m (2015年2月26日 23時) (レス) id: 08492bea53 (このIDを非表示/違反報告)
雛月のえる(プロフ) - あの、久々にリク良いですか?土方さんか薫 書きやすい方で良いのでお願いしても良いでしょうか?もちろん、貴女の都合もあるので、ゆっくりで良いですから! (2015年2月26日 20時) (レス) id: b493613181 (このIDを非表示/違反報告)
月華 - 楽しみに待ってます!! (2015年2月23日 16時) (レス) id: a4dc49a7cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リリーラテ | 作成日時:2015年1月17日 21時

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