非常ベルは止まらない(斎藤一) 4 ページ42
「ストーカーされているのか...？」
答えない。だが瞳が揺れている。肯定ということだろう。
「いつから？」
手から皿をとり、ローテーブルにのせ、彼女を座らせる。
半年くらい前から。ぽつりと呟く。その男とは元々付き合っていたらしい。付き合い始めた途端束縛が激しくなったので３ヶ月程度で別れたところこうなったと言う。彼氏のフリを頼んだのもそいつが諦めるかもしれないと思ったからで、また俺に頼んだのは剣道をはじめとする武道に秀でていると聞き、家も近いからという理由からだった。
「我が儘になると思うけど、周りには知られたくなくて...警察には言いたくないの。ごめん。気持ち悪いわよね...彼氏のフリ辞めていいから。」
そう言って力なく笑う彼女に己の不甲斐なさを痛感する。そっと間合いをつめて抱き寄せる。
「辞めない。」
あんたを守りたい。あんたが好きだ。どこまで俺の気持ちが伝わったか分からない。だが、彼女はありがとうと呟くと俺のシャツをギュッと掴んだ。
その後Aは俺の家に住むようになった。そのことを知った俺の両親は彼女のことを調べ、俺に、いや斎藤家に相応しいと判断したのだろう踊りださんばかりに喜んだ。勝手に結婚式の日取りなども決めそうな勢いである。...皮肉なことだ。
勿論俺としては彼女が嫁いできてくれれば嬉しいが、彼女はそのような気にはならぬだろう。無理強いだけはさせたくない。
「晩御飯できたけど食べられる？仕事は終わりそう？」
家に持ち帰ってきていた仕事をするために広げていたパソコン。その画面をのぞきこみながらAが言う。...まるで新婚のようだ。ほのかな幸せを感じてしまう己を心のうちで叱咤する。
「すまない。あと数分で終わる。」
この頃目立った動きはないが、これはストーカーから彼女を守るための同居なのだ。
食事は基本的に和食が多い。以前洋食が好きだと話していたのを聞いたことがあるので、おそらく俺の好みに合わせてくれているのだろう。黙っている俺に口に合わなかった？と聞いてくる。
「違う。ただ...あんたは洋食が好きだと思っていた故...俺に合わせてくれているのか？」
どうでも良いことなのだろうが、知りたい。そして私和食も好きだから。何、気にしてたの？と笑った彼女が愛おしい。同居している目的を忘れてしまってプロポーズしたい。いや、告白するのが先か。...日々そのような葛藤をしていた。
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雛月のえる(プロフ) - 可愛い恋だね！リリーラテさん文才ありすぎです！神以上です！ (2015年3月1日 22時) (
レス) id: fc66cd23d2 (このIDを非表示/違反報告)
雛月のえる(プロフ) - リリーラテさん» わかりました!楽しみに待ってます!リク、今回も受けていただき誠に感謝します! (2015年2月26日 23時) (レス) id: b493613181 (このIDを非表示/違反報告)
リリーラテ(プロフ) - 雛月のえるさん» ありがとうございます！土方さんの現代で書きたい題材があるのでそれを書かせていただきますね！m(_ _)m (2015年2月26日 23時) (レス) id: 08492bea53 (このIDを非表示/違反報告)
雛月のえる(プロフ) - あの、久々にリク良いですか?土方さんか薫 書きやすい方で良いのでお願いしても良いでしょうか?もちろん、貴女の都合もあるので、ゆっくりで良いですから! (2015年2月26日 20時) (レス) id: b493613181 (このIDを非表示/違反報告)
月華 - 楽しみに待ってます!! (2015年2月23日 16時) (レス) id: a4dc49a7cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リリーラテ | 作成日時：2015年1月17日 21時
