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夕顔(土方歳三) 4 ページ17

「私が作ります。先生、車椅子に乗せてください。」


そう言い両手を自分の方に伸ばしてくるAを見て、土方の心臓が大きく脈打つ。


本人はその気なんざちっともねぇんだろうが、抱っこと強請ってくる子どもみたいじゃねぇか...。


可愛い...さっきまでのツンけんした態度とのギャップに密かに悶える。


車椅子に乗せてもらいキッチンに連れて行ってもらったAは、瞬く間に料理を作りあげ、テーブルに料理が並ぶ。口に運んだ土方は小さく感嘆の声をあげ、


「...大したもんだな。お前嫁に行っても困んねぇだろうな。」


と言う。その言葉にAは頬を染め、そっぽを向いた。


「ひ、土方先生が出来なさすぎなんですよ。ゴミ箱見たらコンビニのお弁当ばっか。早くお嫁さん見つけてきたらどうですか?」


っ?!しまった...と思った時には遅くて...


「嫁さんか...。そうだな、そろそろ俺も家庭を持ってもいい頃だよな...。」


私は馬鹿なんだろうか、自分を苦しめることを言うなんて...。いや、いいんだ。幸せすぎる今の状態に浮かれ気味だった私には丁度いい。


いつでも最悪な状態を予想しておくよう...小さい頃からのAは自分にそう言い聞かせていた。予想よりも良かったらそれはそれでいい。悪かったって別に予想通りなんだから傷つかなくてすむ。自分の中にフィルターを作ることで己を守っていた。


先生は憐れんでここに置いてくれているんだ。幸せだなんて感じちゃいけない。いけないんだ...。


奇妙な同居生活から1週間。


部活指導をしている土方を待つため、放課後図書館に行く。本を読んでいると女子生徒が入ってくるのが分かった。本に意識を戻した瞬間、その意識はまた本から遠ざかる。


「Aちゃん、土方先生に送迎してもらってるんだって。いいなぁー!」


「身体が不自由だから仕方ないよ...でも、先生も大変だよね。」


流石に土方の家に住み着いていることはバレていないようだが...分かってた。迷惑かけているのは。ただでさえ、学校でいろんな肩書きを持っている彼なのに。


本を閉じ、帰り支度を始める。校門を出て、坂を下っていて...1週間前までは毎日繰り返していたことなのに、前より辛い。嘲笑するかのように笑う。先生に甘えていたから弱くなっちゃったんだ。身体も心も...。


「A!」


聞こえてくる声に心臓が跳ねる。正直嬉しいとか思っている自分に嫌悪感さえ抱く...スピードを上げる。


「おい!待てよ!」

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雛月のえる(プロフ) - 可愛い恋だね!リリーラテさん文才ありすぎです!神以上です! (2015年3月1日 22時) (レス) id: fc66cd23d2 (このIDを非表示/違反報告)
雛月のえる(プロフ) - リリーラテさん» わかりました!楽しみに待ってます!リク、今回も受けていただき誠に感謝します! (2015年2月26日 23時) (レス) id: b493613181 (このIDを非表示/違反報告)
リリーラテ(プロフ) - 雛月のえるさん» ありがとうございます!土方さんの現代で書きたい題材があるのでそれを書かせていただきますね!m(_ _)m (2015年2月26日 23時) (レス) id: 08492bea53 (このIDを非表示/違反報告)
雛月のえる(プロフ) - あの、久々にリク良いですか?土方さんか薫 書きやすい方で良いのでお願いしても良いでしょうか?もちろん、貴女の都合もあるので、ゆっくりで良いですから! (2015年2月26日 20時) (レス) id: b493613181 (このIDを非表示/違反報告)
月華 - 楽しみに待ってます!! (2015年2月23日 16時) (レス) id: a4dc49a7cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リリーラテ | 作成日時:2015年1月17日 21時

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