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今日をかぎりの命ともがな(土方歳三) 2 ページ2

注がれるまま飲むと下戸の土方は忽ち酔ってしまい、Aに甘えかかる。


「A、名前呼んでくれ。」


「土方はん。」


「そうじゃねぇ。分かってんだろ?」


Aは白い手を口元にやってくすくすと笑う。


(生)は余裕のない土方を見るのが好きだった。いつだって余裕綽々な彼が自分にだけ見せてくれる顔。


もう少し見たいたいけど...


彼の名を呼びたい。


「トシ...。」


紅をひいた唇が自分の名を紡いだとき、たまらなくなり土方は彼女を引き寄せ自身の唇で塞ぐ。


慈しむように、優しく...。


唇が離れると、土方はAを腕に閉じ込め、柔らかい髪を撫で付ける。この時間がめまぐるしい日々を過ごす土方にとっての至福の時。


「そろそろ帰らねぇとな。また来る。」


ゆっくりと離れるが、名残惜しさが残る。


「男の約束などあてにならへんものやから、期待せんと待っとります。」


そう言うAに、土方は困ったように笑う。


「馬鹿、俺がお前をとの約束を破るわけねぇだろ。お前のこと片時も忘れることもできねぇのによ。」


軽く額に口づけを残し、土方は立ち上がる。


その背が闇の中に溶け込んでいくのを見送りながら、Aは口ずさんだ。


忘れじの
 行く末までは
  かたければ
今日をかぎりの
  命ともがな


(私を忘れないという貴方の言葉が将来も変わらないとは限らない。それならばいっそのこと愛されている今日限りに死んでしまいたい)


初めてのこの歌を聞いたときは理解できなかったけど、今なら良く分かる。土方は花街でもいい男と噂されているし、心変わりされるかもしれない。それに命懸けで日々生きている人だ。いつ会えなくなるか分からない。


幸せな今、朝露のように消えてしまえたらどんなに楽だろう...。


いつでも余裕で、大人の駆け引きも朝飯前というAも人知れない悩みを抱えているのだった。

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雛月のえる(プロフ) - 可愛い恋だね!リリーラテさん文才ありすぎです!神以上です! (2015年3月1日 22時) (レス) id: fc66cd23d2 (このIDを非表示/違反報告)
雛月のえる(プロフ) - リリーラテさん» わかりました!楽しみに待ってます!リク、今回も受けていただき誠に感謝します! (2015年2月26日 23時) (レス) id: b493613181 (このIDを非表示/違反報告)
リリーラテ(プロフ) - 雛月のえるさん» ありがとうございます!土方さんの現代で書きたい題材があるのでそれを書かせていただきますね!m(_ _)m (2015年2月26日 23時) (レス) id: 08492bea53 (このIDを非表示/違反報告)
雛月のえる(プロフ) - あの、久々にリク良いですか?土方さんか薫 書きやすい方で良いのでお願いしても良いでしょうか?もちろん、貴女の都合もあるので、ゆっくりで良いですから! (2015年2月26日 20時) (レス) id: b493613181 (このIDを非表示/違反報告)
月華 - 楽しみに待ってます!! (2015年2月23日 16時) (レス) id: a4dc49a7cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リリーラテ | 作成日時:2015年1月17日 21時

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