はじめくんもしもシリーズ 1-5 ページ40
それから数日後信じられないことが起こった。
「はじめくん、あのね...率直に言わせてもらうけど、彼女結婚することになったよ。」
...は?
「何?!相手はどこのどいつだ?!」
「お、落ち着いて!僕もよく知らないんだけど、親同士が決めた政略結婚だって。」
「式はいつだ。」
「一週間以内。」
一週間以内だと...?時間がない。確か今夜は新月だったはず。
「すまない、総司。恩に着る。」
その夜。
Aはバルコニーで空を眺めていた。
「あの時はあんなに大きく見えた星なのに、今日は一段と小さく見える...」
そう独り言つ。
星に向かって手を伸ばしていると、それらがだんだん遠くに行ってしまうように感じて...涙が溢れる。
「あんたは涙まで美しいのだな。」
なぜ気づかなかったのだろう。そう声が聞こえて顔をあげる。
「さ、斎藤様!」
Aが一歩下がる。
「ごめんなさい。わたくし結婚することになりましたの。もう...会えませんわ。誰かに見つかっては困ります。斎藤様も早くお帰りになって。」
Aは部屋に戻っていく。仕方ないの...国の運命がかかっているんだから。この結婚はわたくしのためだけのものではない。...えっ?!斎藤様に抱きしめられてる?!Aはもがくが抜け出せるはずもない。
「見つかったらどうなさるのですか?!」
ただではすまないだろう。一国の王子であっても。
「これなら誰にも見えぬだろう。」
深い紫色のカーテンにAを抱きしめたままくるまる。
「っ...」
「姫...」
抵抗をやめたのを見ると斎藤は赤い薔薇を差し出す。
「姫、あんたを愛している。これ以上にないほどに。」
Aが息を詰めた音がする。
「う、受け取れませんわ。わたくしはもう...」
「あんたが俺を少しでも好いてくれているのなら、このまま攫っていく。この国の姫ではなく、A、あんたの気持ちが聞きたい。」
そんなの決まってる...
「好き...。でも、この思いは二人だけの永遠の秘密にしましょう?わたくしは決して忘れな...」
「悪いが、却下だ。」
きゃあっ!Aを横抱きにすると、バルコニーに出ていき、彼女を抱えたまま天馬に乗り、夜空に飛び立つ。
恋い慕う彼といたい、でも国を捨てるなんて...。それに攫っていったことがバレたときの斎藤の身を思うと...複雑な心境。声も出せない。
斎藤の城についたときには夜が明けていた。一応己のマントを彼女に被せて城に入る。
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雛月のえる(プロフ) - いえいえw書いて貰うのに急かすのは性に合いませんのでw先に斎藤ようこちゃんさんのリクを優先しても構いませんので!!更新頑張れー (2015年1月13日 15時) (レス) id: b493613181 (このIDを非表示/違反報告)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - 私の方こそありがとうございます〜。いつも楽しみです。♪ (2015年1月13日 8時) (携帯から) (レス) id: 29bc6add98 (このIDを非表示/違反報告)
リリーラテ(プロフ) - 斎藤ようこちゃんさん» そう言って頂けて嬉しいです!コメントいつもありがとうございます♪ (2015年1月13日 8時) (レス) id: 08492bea53 (このIDを非表示/違反報告)
リリーラテ(プロフ) - 雛月のえるさん» ありがとうございます!どのくらいお時間いただくことになるか分かりませんが、よろしくお願いします!m(_ _)m (2015年1月13日 8時) (レス) id: 08492bea53 (このIDを非表示/違反報告)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - 斎藤さん最高です。 (2015年1月13日 8時) (携帯から) (レス) id: 29bc6add98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:リリーラテ | 作成日時:2014年10月9日 19時