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夏休み明け一発目だからか、下校中の学生が見受けられる。
「でも楽しかったろ?」
影浦の無計画さに呆れていれば横目にそう尋ねてきた。直ぐに返事を返さなかったAに影浦は「楽しかったよなぁ?」といじめっ子顔負けの顔で繰り返す。
「力技過ぎるでしょ。」
頷かざるを得ない状況を一瞬で作り上げた男を横目で見れば目が合った。
「楽しかった云々は一回置いといて、訂正すると自分はいつも死人みたいな顔だよ。」
言わずにおこうと思ったが、あまりの無計画な影浦とこの後説教されるだろうと思ったらせめてもの反抗として言い返してやった。
ちょうどその時、怒気を含んだ荒船の声がする。彼の周りには当真と村上、穂刈などと18歳組が揃っていた。尚、一人ニコニコと楽しげに笑う当真が荒船に告げ口したと思われる。
「荒船さん超怒ってんじゃん。オウガみたいな顔してんじゃん。」
「当真の野郎…」
ずんずんと大股で近付くオウガに諦めた様な顔をしたが、よくよく考えたらサボった、というより影浦にサボらされた、と表した方が正しい。自分まで説教されるのは理不尽にも思えてきた。
「…カゲさんのせいだよ。」
「共犯だバカ。」
「あ、楽しいか楽しくないで言えば柄にもなく楽しいと思えたよ。お金は飛んでったけど。」
「…一言余計だっつーの。」
鬼の荒船を前にしても呑気に会話を続ける二人に荒船は更に声を荒らげる。最終的には「本部に戻ったら覚えてろよ」という恐ろしい一言を残した。
本部に着いて早々に逃げ出そうとしたAの首根っこを影浦が掴んだ。「逃がさねぇぞ」と目で訴えかけてくるし、何なら心の声もしっかり聞こえてる。ズルズルと引き摺られながら荒船隊の作戦室にはいれば、仁王立ちした荒船とギャラリーに村上と穂刈がいた。
「荒船さん、戦利品のお菓子で穏便に済ませてくれない?」
「巫山戯んのも大概にしろ!」
「聞く耳持たねぇなコイツ。」
影浦、A共に悪びれる様子は見て取れない。
「荒船さん、自分はカゲさんに無理矢理サボらされた哀れな後輩だよ?問答無用で連れ出されたの。ネロ皇帝並の暴君だよこの人。」
「あ?共犯だっつただろーが。」
ネロ皇帝は言い過ぎたかもしれない。世の中にはもっと上の暴君もいるはずだ。
「うるせぇ!!いいから黙って聞け!!」
荒船の終わりの見えない説教が始まった。
「A、昨日より元気出たみたいで良かったな。」
「あぁ、流石だな、カゲは。」
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はな(プロフ) - レモン味のかき氷さん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉…✨鳩原先輩関係の人主人公にした面白いんじゃね?っていうノリで作っちゃいました笑 原作でも謎多き、って感じなのでめちゃくちゃ捏造しまくると思いますが、これからも面白いと思っていただけるよう頑張ります! (2022年6月5日 18時) (レス) id: 906e49b810 (このIDを非表示/違反報告)
レモン味のかき氷(プロフ) - コメント失礼します!最初に、この作品の発想から凄いです!!同じ作者として、予想できない展開等あったので、時には楽しんだり、時には衝撃を受けました!リアルの方でお忙しいと思いますが…更新頑張ってください💪🔥 (2022年6月5日 16時) (レス) @page4 id: e6207c7e03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はな | 作成日時:2022年6月4日 18時