未来は、【ワールドトリガー】

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＿＿人間はそういうもんだって割り切ってる。だから、

期待はしてない。


犬飼には言いかけたAの言葉はそう続くのではないかと思った。
背を向け歩き出した犬飼の内の声にAは｢正解だよ｣と返す。


「そうだよ、犬飼先輩。自分は期待なんてしてない。」


ベンチから降りてAも作戦室に向かう。
鳩原Aは誰にも期待はしていないし信用もしてない。それは影浦隊も該当した。
根付や嵐山隊の頑張りのおかげで一定数の人間はボーダーに良い印象を持ってる。でもその反対の人間もいる。Aは後者の人間だった。


呪いのようだと思った犬飼先輩もあながち間違ってない。犬飼先輩が呪いの様だと感じてくれたなら良かったよ。自分は誰一人だって信用しないし期待しない。カゲさん達が自分を信用してくれてるのはちゃんと伝わってるよ。でもね、自分はしない。カゲさん、やっぱり自分はダメな奴だから。ごめんね。

自分は未来が嫌いだった。いっつも辛いと、苦しいと、自分を責めてもがいてるのに、未来の言う強くて優秀なチームメイトには頼らないから。ボーダーでの様子なんて知らないけど自分には丸分かりだったよ。ねぇ、強くて優秀なチームメイトだったんなら何で助けての一言も言えなかったの？なんて、自分の事は棚に上げてる自分も大概だ。未来はそのチームメイトに助けて欲しかったんでないの？自分の姉が違反を犯せる様な奴じゃない事くらい知ってるよ。誰に唆されたの？本当はこの世界からいなくなる前にチームメイトに気付いて欲しかったんじゃないの？気付いて、助けを求めたかったんじゃないの？なんて、全部自分の憶測。
自分の事を棚に上げてるなんて言ったけど、自分は別に影浦隊のみんなに助けて欲しいだなんて思ってないもん。


ねぇ未来、人が撃てないって人間として当たり前の感覚も、ここでは弱さに言い換えられちゃうんだって。強さに変えないと居場所は無いらしいよ。

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