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五月。鳩原未来が姿を消して数日後。二宮隊の面々には疲労が出ていた。普段にも増して口数が少なくなった後輩に、得意の愛想笑いも浮かべられない程の同級生に荒船は溜息を吐きたくなった。彼らはここ連日聴取されていた。もちろん同隊の鳩原に関してだ。しかし彼らは口を揃えて知らないという。鳩原が何を早まった真似をしたのかなんて二宮らが知りたいくらいだった。彼らの言う「知らない」に嘘偽りはない。本当に知らなかったのだ。
影響は二宮隊に留まらない。鳩原の弟子である絵馬にもあった。鳩原の中傷に傷付くだろうからと狙撃手組がやけに絵馬を気にしていた。
そんなこんなにの直後の話だ。
ポジション転向の手続きをしてるから、と穂刈は荒船に報告された。ボーダー初の狙撃手部隊だ、よろしく、なんて少し前までは待っていたと答えただろう。今シーズンは辞めとけと言う穂刈に荒船は疑問を呈する事なく眉間に皺を寄せる。
「絵馬は大丈夫か?」
そこでまず気にかけるのは年少者、友人の弟子というあたり大変この隊長らしい。絵馬の事もちゃんと見ている事を伝えた。鳩原がいなくなってから何かと師匠面するようになった当真が主に絵馬を気にかけていた。当真はその内遠征もあるから俺もいた方がいいだろうと言う荒船には穂刈の心配などあまり伝わってはいない。
「お前も言われてるだろ、くだらない事を。」
「くだらねぇ事なんか言わせとけ。」
弟子に抜かされたと叩く輩が今度は狙撃手に逃げたと叩くだろう。そう心配したが、荒船はそれを鼻で笑い飛ばした。男前が過ぎる隊長だ。
「いや、むしろ言ってもらおうか。」
続けて出た言葉を荒船はにんまりと笑うので、まだまだこちらが甘かったと天を仰いだ。その上誰にも言うなと釘を刺される。
「鋼にもか?」
「あぁ、誰にもだぞ。」
「知らないからな、どうなっても。」
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はな(プロフ) - レモン味のかき氷さん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉…✨鳩原先輩関係の人主人公にした面白いんじゃね?っていうノリで作っちゃいました笑 原作でも謎多き、って感じなのでめちゃくちゃ捏造しまくると思いますが、これからも面白いと思っていただけるよう頑張ります! (2022年6月5日 18時) (レス) id: 906e49b810 (このIDを非表示/違反報告)
レモン味のかき氷(プロフ) - コメント失礼します!最初に、この作品の発想から凄いです!!同じ作者として、予想できない展開等あったので、時には楽しんだり、時には衝撃を受けました!リアルの方でお忙しいと思いますが…更新頑張ってください💪🔥 (2022年6月5日 16時) (レス) @page4 id: e6207c7e03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はな | 作成日時:2022年6月4日 18時