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「A、さっきから何だ…」


真横からの視線に耐えきれずといったように荒船はイーグレットを下ろしながら尋ねた。答えのないAに顔を見れば、探る様な視線を向けている。「A?」ともう一度呼べばやっとその口を開いた。


「荒船さんさ、何か企んでる?」
「は?」


あまりにも突拍子のない質問に思わず間抜けな声が出た。心の声を聞いたのかと思ったが、何か企む様な事を思った覚えはない。しばらく考えてみたがやっぱり思い浮かばず、チラリとAを横目で見れば未だに探る様な目を向けていた。


「荒船さんが狙撃手になったのが自分の入隊してくる少し前だって聞いた。それも知ってたのは穂刈先輩だけでしょ?自分が入隊したのは五月末。その少し前って未来の話で持ち切りだった頃じゃない?」
「そうだな。鳩原の事は聞いたか?」


イーグレットを再び構えて尋ねれば横から肯定の声が聞こえる。


「荒船さんは馬鹿じゃないから、狙撃手界隈の空気が悪かったのも気付いてたはずだし、そのタイミングで狙撃手になればつまんない事言う連中に火をつけるのも分かってたはずで、周りに何囁かれるかも分かってたはず。未来のいなくなったばかりでタイミングも最悪だったでしょ?」
「あぁ、」
「一つ聞きたいんだけどさ、荒船さん友達いない?」
「何だそれ。ダチくらいちゃんといる。」


スコープを覗き引き金を引いたが的は大きく外れた。分かってはいたが、集中してないから駄目だなとイーグレットを下ろす。


「じゃあ何で周りは何も言わないんだろね?それとも何も言うなとでも言った?」
「A…さっきから何が言いてぇんだ。」


バチリ、と互いの視線が交差する。両者睨み合うような二人に周りにいた訓練生達は近付けずにいた。ザワザワとした声も聞こえる。傍から見たら二人は睨み合い一触即発の様にも見えるだろう。


「もしかしてだけど荒船さん、わざと周りに陰口叩かせてる?」


ドキッと心臓が鳴る。疚しい事をしてる訳ではなたが、図星を突かれた。確かに荒船は穂刈に誰にも言うなと釘を刺した。周りの声も放っておけとも言った。同じ隊の他二人は流石に伝えたが、穂刈と同じ様に釘を刺した。
じっと視線を交差させる中、射撃場ではあまり聞かない人間の声が二人の耳に届いた。

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はな(プロフ) - レモン味のかき氷さん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉…✨鳩原先輩関係の人主人公にした面白いんじゃね?っていうノリで作っちゃいました笑 原作でも謎多き、って感じなのでめちゃくちゃ捏造しまくると思いますが、これからも面白いと思っていただけるよう頑張ります! (2022年6月5日 18時) (レス) id: 906e49b810 (このIDを非表示/違反報告)
レモン味のかき氷(プロフ) - コメント失礼します!最初に、この作品の発想から凄いです!!同じ作者として、予想できない展開等あったので、時には楽しんだり、時には衝撃を受けました!リアルの方でお忙しいと思いますが…更新頑張ってください💪🔥 (2022年6月5日 16時) (レス) @page4 id: e6207c7e03 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はな | 作成日時:2022年6月4日 18時

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