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「あ、Aは知らねぇのもしれねぇけど、荒船が狙撃手に転向したのもAが入隊してくる少し前だぞ。」
「え?」
これには驚きを隠せなかった様でAは気だるげな目を見開いて諏訪を見上げた。
「穂刈は前から知ってたみてぇだけど、他は転向してから知った。」
コンビニのビニール袋からツマミを取り出しながら話す。
荒船の転向は上位狙撃手にはかなり好意的に受け止められた。狙撃手だけの構成とはどれだけ狙撃手を重視しているのかと受け止められ、実力者である程歓迎していた。
荒船の狙撃手への転向は良くも悪くも噂になった。弟子に早々に抜かされた荒船に同情する者も多かった。逃げてきたと揶揄する者も当然いた。それは「同情する者」が「善意の声」で語る事も多い。
「攻撃手辞める前から弟子に簡単に負けた情けない師匠だって陰口を叩く奴らはいた。」
「……荒船さんはさ、馬鹿じゃないでしょ?だから狙撃手に転向すれば何言われるか分かってたはず。いや、この場合馬鹿でも分かるんだけど…あー、とにかく、荒船さんは分かってて、多分…わざとやってるんじゃないかって…思って…」
それは諏訪も思っていた事だ。何なら東にそんな話をした記憶がある。その時の諏訪の顔は年少者を思いやる大人の顔だった。
「東さんに話したの…」
「おー。」
「諏訪さんって不良な上にお節介だね。」
そう言ってAもツマミに手を付けお酒を飲み干した。二本目に行こうとして諏訪に止められる。心底呆れた声で「一本で終わっとけ」と言われ袋は取り上げられた。しまいには「ちゃんも寝ろ」とも言われキョトンとした。
「最近寝れてねぇんだろ?」
目元に鎮座する隈を見れば一発だ。
「不安なガキの夜遊びぐれぇ幾らでも付き合ってやるし、責任も俺が取ってやる。今はちゃんと寝ろ!」
腰に手を当て何処ぞの母親よろしくな雰囲気で言い放つ諏訪に呆けたと同時にこの人には敵わないとも思った。相手の感情が分かるサイドエフェクトを持ってるでもないのに、こちらの心情などお見通しなのだ。
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はな(プロフ) - レモン味のかき氷さん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉…✨鳩原先輩関係の人主人公にした面白いんじゃね?っていうノリで作っちゃいました笑 原作でも謎多き、って感じなのでめちゃくちゃ捏造しまくると思いますが、これからも面白いと思っていただけるよう頑張ります! (2022年6月5日 18時) (レス) id: 906e49b810 (このIDを非表示/違反報告)
レモン味のかき氷(プロフ) - コメント失礼します!最初に、この作品の発想から凄いです!!同じ作者として、予想できない展開等あったので、時には楽しんだり、時には衝撃を受けました!リアルの方でお忙しいと思いますが…更新頑張ってください💪🔥 (2022年6月5日 16時) (レス) @page4 id: e6207c7e03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はな | 作成日時:2022年6月4日 18時