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カレーひとつ。
そう頼む声が誰かと重なった。数日前もこんな事があったと思いながら隣を見れば風間もこちらを見ていた。その後ろには同隊の菊地原と歌川も顔を覗かせている。
「東さんに狙撃を習ってるのか?」
唐突な質問に戸惑いつつ首を縦に動かす。風間は「そうか」とだけ頷いて顔を前に向けた。「そういえば、」と口を開いたのは歌川だ。続いて出た言葉は「あの人も東さんの弟子だったな」だった。歌川の指すあの人が姉である事を察したAはちらりと歌川に視線を向ける。
「何でそんな顔されなきゃなんないんだろうね?」
どこか気まずさを感じる顔にAは顔を前に戻しながら伝える。聞こえて来る声も不快ではないにしろ良いものではなかった。
「未来は上にボーダーを辞めさせられたって聞いたよ。」
「誰からきいた?」
風間がAに顔を向けながら尋ねる。絵馬に聞いたと返せば歌川から「何も知らないのか、」と同情する様な声が聞こえた。「何も知らないって?」と聞こうとするよりも先に風間が口を開く。上層部の判断は正しかったと。そんな事を顔色ひとつ変えずに言ってしまう風間に何か言い返してやろうかと思って止めにした。そういえば遠征部隊は上層部に従う人の集まりだった。
「お前の姉には隊員を守る覚悟がなかっただけの事だ。二宮隊だけじゃない。お前や弟子の絵馬もだ。」
「人が撃てないから?」
返す言葉はなかった。無言は肯定を表す。その時、今まで黙っていた菊地原が声を発した。
「遠征とランク戦は違うんだよ。」
そんな当然の事を分かってない程Aの思考は幼稚じゃない。相手の武器を壊したところで相手にダメージを与えなければ意味はないのだ。
「それにウチの獲物は再構成のコストは低いし大して痛くないんだよね。」
「何も知らないくせに」と最後に付け加えた菊地原に歌川は咎めるような口調で名前を呼んだ。「本当の事じゃん」と口を尖らせる横で風間がAの名前を呼んだ。
「お前の姉の狙撃は上も買っていた。奴を最も評価していたのは二宮だ。」
こちらに視線を向けずにトレーを受け取った風間が告げた。その風間から確かにAは声を聞いたのだ。「本当の事など知らなくていい」と。
「風間さん達は何を知ってんの?」
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はな(プロフ) - レモン味のかき氷さん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉…✨鳩原先輩関係の人主人公にした面白いんじゃね?っていうノリで作っちゃいました笑 原作でも謎多き、って感じなのでめちゃくちゃ捏造しまくると思いますが、これからも面白いと思っていただけるよう頑張ります! (2022年6月5日 18時) (レス) id: 906e49b810 (このIDを非表示/違反報告)
レモン味のかき氷(プロフ) - コメント失礼します!最初に、この作品の発想から凄いです!!同じ作者として、予想できない展開等あったので、時には楽しんだり、時には衝撃を受けました!リアルの方でお忙しいと思いますが…更新頑張ってください💪🔥 (2022年6月5日 16時) (レス) @page4 id: e6207c7e03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はな | 作成日時:2022年6月4日 18時