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Aは影浦の言った通りすぐにB級に上がり、正式に影浦隊の隊員となった。
Aは姉とは反対だったが同じだった。人を撃つ事に躊躇いがなくて胡散臭い笑みもない。だが、中身を隠すのは姉にそっくりだ。外見で偽って、誰にも中を見られまいと、悟られまいと隠してる。何でもない顔しても影浦にはそれが分かってしまう。多少なりとも不満はあるが、胡散臭い笑顔を貼り付けられるより幾分マシだと思った。
「何でそんなに自分を影浦隊に入れたかったの?」
ソファを背もたれに床に座ってアイスを口にしたAはふと疑問に思ったように尋ねた。ソファで漫画を読んでた影浦は斜め下にいる新入りを見下ろした。
「だってカゲさんはさ、自分の事嫌いでしょ?」
「あ?」
「いや、嫌いじゃないか。苦手?…も違うか。とにかく、不満に思ってるじゃん?だから何でかなーって。」
影浦が声に出すよりも先に会話が進む。例のサイドエフェクトで聞こえるのだろう。刺さる感情は純粋な疑問だった。鳩原に頼まれたと話すのは何だか面白くない。そう思ってるのも筒抜けな様でチラッも影浦に視線が向けられた。
「お前やりにくいな。」
「カゲさんもじゃん。」
心の声を聞かれるというのは丸裸にされてるのと同じでやりにくい。思考が全て筒抜けなのだから。同時にAも影浦はやりにくい相手だと思った。こちらの感情が伝わってしまうから、いくら外を固めても隠し持ってるものがバレてしまう。今まで相手の気持ちが伝わるだけだった会話が、こちらの事も知らぬ内に分かってしまう、似たようなサイドエフェクト持ちの相手は初めてだった。駆け引きをしているかの様な空気が流れた。
「鳩原に頼まれたってだけの理由でホイホイ入れたりしねぇよ。」
「人の頼みなんて素直に聞いてやるタイプじゃなさそうだもんね。」
「あぁ!?」
青筋を浮かべた影浦を知らんぷりしてAは最後の一口を口に入れる。じゃあ他にも理由があったのかと言わんばかりの感情に影浦は再び漫画に目を落として口を開いた。
「Aが、俺と似たサイドエフェクト持ってたからだ。」
「同情?」
チクリと苛立った感情が刺さる。「そんなんじゃねぇよ」と返せばその小さな痛みは消えた。
「俺達みてぇのはサイドエフェクトと折り合い付けて、他の連中よりずっと器用に生きなきゃなんねぇんだよ。」
「…カゲさんが器用に生きてるとは思いにくい。」
「お前ほんっとクソガキな!」
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はな(プロフ) - レモン味のかき氷さん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉…✨鳩原先輩関係の人主人公にした面白いんじゃね?っていうノリで作っちゃいました笑 原作でも謎多き、って感じなのでめちゃくちゃ捏造しまくると思いますが、これからも面白いと思っていただけるよう頑張ります! (2022年6月5日 18時) (レス) id: 906e49b810 (このIDを非表示/違反報告)
レモン味のかき氷(プロフ) - コメント失礼します!最初に、この作品の発想から凄いです!!同じ作者として、予想できない展開等あったので、時には楽しんだり、時には衝撃を受けました!リアルの方でお忙しいと思いますが…更新頑張ってください💪🔥 (2022年6月5日 16時) (レス) @page4 id: e6207c7e03 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はな | 作成日時:2022年6月4日 18時