dwarf*19 ページ19
.
彼らが私の家に来てから一週間が経とうとしていたある日。
『…ん…、あれ…?』
いつものように目覚まし時計の音で起きた時、彼らがいつも寝ている所に目をやると何故か姿がない。
珍しい、二人とも私より先に起きたんだー
なんて呑気に思いながらリビングに行ったのだけれど。
『ん?二人とも、どこー?』
リビング、キッチン、浴室、どこを探しても彼らは居なくて。
『…うそ…』
なんで居ないの?
ねぇ、出てきてよ。
『寛太くん!!富永くん!!』
へへ、Aビビった?って。
んはは、そんな顔しないでよ!って。
早く出てきてドッキリ大成功!って言って、お願いだから。
.
ここ数日、ずっと私に笑いかけてくれていた彼らが居なくなったとしても平日というものは私を会社へ連れて行く。
駅までの道のり、通勤ラッシュの電車内でも無意識に彼らを探してる自分が居て。
自力で玄関の扉なんて開けられるはずないのに。
でもあの家から確かに二人は消えていた。
なんで?
って、朝と同じ自問自答が始まっているのに気づいて、考えるのをやめた。
彼らの存在はファンタジーだもん、命が絶たれる事なんてないよ。
.
「…うわ、お前どした」
『…なにが』
「この前まであんな幸せそうで綺麗だったのに
今のお前、彼氏に振られた時よりひでぇ顔してる」
…うそ、そんなに?
やっぱり、あの二人が居なくなったら
癒えてた傷もまた抉られるんだな。
『…あ、そう』
「え、お前マジでどうした!?」
何も言い返してこない私がよっぽど珍しかったのか、
本気で心配してる声色。
『大丈夫だから』
「…そっか」
これ以上何も言わないで、とでも言うかのような私の言葉で心情を察して
深く入り込もうとするのをやめたジロー。
この前の残業の時といい今といい、
彼の事を振り回してばっかり。
そんな自分にも苛立って自己嫌悪に陥ってしまって。
ほんと、悪循環すぎ。
.
145人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りか - すごく面白いです!頑張ってください応援してます! (2018年10月11日 19時) (レス) id: 6dfc96fe22 (このIDを非表示/違反報告)
ぴょぴょ姫(プロフ) - なちぼんさん» お返事ありがとうございます!これからも楽しみにしてます!頑張ってください!ヽ(*´∀`)ノ (2017年12月26日 1時) (レス) id: 37832a3e1b (このIDを非表示/違反報告)
なちぼん(プロフ) - ぴょぴょ姫さん» 嬉しいです…!!こちらこそありがとうございますー!これからもよろしくお願いします(*´ч`*) (2017年12月23日 19時) (レス) id: 1bdc9855ce (このIDを非表示/違反報告)
ぴょぴょ姫(プロフ) - 泣きました…。Twitterのとこ泣きました…。最高ですありがとうございました本当に!! (2017年12月19日 17時) (レス) id: 37832a3e1b (このIDを非表示/違反報告)
秋桜(プロフ) - なちぼんさん» はい! (2017年8月9日 3時) (レス) id: ed8d2e5c0f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:なちぼん | 作成日時:2017年7月27日 13時