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阿部side
ピコン。
ぱっと見た画像はとんでもなく儚い雰囲気を纏い、少し憂いも混じっていて、それでいてほんのりと色気がある佐久間だった。
「んと、何々。阿部ちゃんの言う儚いタクマくんの雰囲気はこんな感じ?、か。うん、そんな感じ」
以前、康二に言っておいたのだ。
ふとした瞬間に儚い雰囲気になる佐久間を撮れたら撮って欲しいと。
もちろん、本当に撮ってくれるとは思っていなかったし、ただの願望を伝えたに過ぎない。
なんだか、佐久間の声が聞きたくなった。
そしたら、佐久間さんを聞いてと言われた。
うん?
佐久間さん??あ、この間のボイスレコーダーの奴か?
スマホを操作して、……あった。
“阿部ちゃん〜、聞こえてるかな?佐久間さんだよー!!
えへへ、ちょっと声が聞きたくなった時に聞いて欲しいなーと思って。あ、だからと言ってずっと聞いてたら、佐久間さん悲ピーマン!ちゃんと、俺が居る時は聞かないでよって阿部ちゃんならわかってると思うけどさ。
ふふ…佐久間さんね、阿部ちゃんと居れて本当に毎日幸せなんだ〜。俺には阿部ちゃんが居ないとダメだね!佐久間の世界を彩っているのは阿部ちゃんってこと、忘れないでね。それじゃ、また!”
ダメだ、泣くやつ、
涙腺崩壊する。
頑張って泣かないように上を向いたり、色々としたけど、涙は止まることを知らずに流れる。
ぽたぽた、と零れた涙はじんわりと服を濡らす。
嗚呼、もう。
どうしたらいいんだろう。
涙を止めようとゴシゴシと乱暴に拭いているとインターホンが鳴る。
佐久間帰ってきちゃったか〜って思ったけど、よく考えたら帰る場所ここだし、普通の事。
嗚呼、本当、どうしようかな。
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作者名:まっくろねこ | 作成日時:2020年7月10日 23時