＿＿＿彼 *second*【伊月俊】

３６＿ ページ8

【Asaid】









俊兄と……話せなくなってしばらくがたった…








自分が……俊兄を避けてたくせに、




こんなに時間の流れを遅いと感じたことがないくらい




……空っぽだった









私、俊兄取っちゃうと……こんなしょうもない奴だったんだ…








唯一…日課にしていたのは、



毎朝……部活へと早くから行く俊兄を部屋から見ること








それを見ながら、思う









今日の…練習試合、勝った？





何点シュート入った？





俊兄……活躍してたんだろーなぁ









、









話したいことが……山程あるのに






いつもみたいに……声をかけたいのに







窓枠をぎゅっと握りしめて、俊兄の遠ざかっていく後ろ姿を見送りながら……









貴「……何やってんだろ…こんな所で…」









情けなくて……座りこんだ





俊兄なしでは……何も残らないくせに









、









、









長い長い、春休みも終わり…新学期







クラス替えという……一大イベント





私は、周りが盛り上がってる中、一人素朴に名前を探す。









自分の名前を見つけた時……同時に発見した事…






……俊兄の前のクラス……









、









ああ……こんなことで






バカな私は笑ってしまう……









喜べちゃうんだな……私







本当……俊兄しか、見てないんだから









俊兄には……何組になったか、報告にいく毎年恒例の私にとってはイベント……







同じクラスになった時は、教室にある落書きの場所を教えてくれたり





同じ担任になった時は、その先生の癖を教えてくれたり





……同じ委員になった時は、助けてくれたり……









私はその場で俯いた。









君を失うことで





これからの楽しい未来が激減するんだ……









、









下駄箱に貼った自分の名前……






それを見ながらフー…とため息を吐く









さいってーの形で……俊兄にバレた







もうダメだ……終わった……









私は、俊兄の……恋人にはなれなくて









妹にも、戻れなくなった____________









、









ツー……








勝手に涙が出てきて、驚いた。




周りには人がいたから、必死にバレないように声を殺した。







涙を拭う左手には、俊兄から貰ったブレスレット。








、









これだけが……




今の私の支えだった____________

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