『喰』べたかったのに『食』べられました【東京喰種】

あたしは ページ36

あたしは、ずっと仲間だと思ってた。


どんなに迷惑かけたって

『はぁ…仕方ないな』

『大丈夫だよ！』

『気にすんな』『そーっすよ！』


そうやって笑って見過ごしてくれた。


だから、皆が大好きだった。

いつもあたしが笑っていれば、皆が笑顔になると思って。
でもそれが逆に不信を抱かせてしまったみたいで。


誰一人として欠けさせまいと裏で必死に働いた。

失うのが怖くて、奪うのが怖くて逃げていた。
立ち向かっている皆を尻目に、生きているという安堵を漏らしながら。



戦いも仕事も、見ているだけで許されると甘えていた。


『仲間』なんだから。



そう鷹をくくって皆に体を委ねて


突き放されて。



心配してくれた姿も

優しく包み込んでくれた姿も

笑い合った姿も


全部、全部嘘だった。



境界線を張っていたのは自分なのに



立ち入ることを許さなかったのは自分なのに







なんて自分勝手で、アホらしい。





貴「……や…だ……ｯ」




離れていってから気づく仲間の大切さ。



違うの。境界線なんていらないの。嘘なんていらないの。


貴「皆と一緒にいたいｯ……！」





頬を濡らす涙が、嫌というほどに痛感させる。

拭っても拭っても枯れることを知らない。



貴「ごめ…なさいｯ…ごめんなさいｯ！！………お願いだから…」




＿＿＿＿＿一人にしないで。




急に後ろから温もりに包まれる。

もう、誰かなんて分かっていた。

貴「う…た………」







ウタ「…………泣かないでよ」

ウタ→←不必要

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