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聞かせて ページ32

『喰種だ…ッ逃げろ!!』



『龍ちゃんはッ!?龍ちゃんも一緒に…!』



『俺はいいから!早………………





『りゅ……ちゃ……ッ…いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』






貴「あぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」




閉ざされた瞼を、無理矢理こじ開ける。切れた息をゆっくり整え、顔をあげた。




カネキ「……A…さん…?」




そこには、熱で魘されていたはずのカネキさんが、本を片手にベッドの中で寛いでいた。


眉間にシワを寄せ、不信そうにあたしを見つめている。



あたし、いつの間に…


貴「あ、す、すいません…読書の邪魔ですね…戻ります」


伏せていたベッドから離れ、元気になってよかったです、とだけ言った。




カネキ「帰っちゃダメだよ」


背を向けたあたしに、カネキさんは咎めるように呼び止めた。


貴「あ…もしかして、ようやく喰べさせてくれるんですか?」


冗談を言って、笑ってみせる。だけど、あの夢の後味が悪くてどうにも濁ってしまう。



ポタ、ポタと静かに落ちる涙に、情けない気持ちが溢れた。



カネキ「こっち向いて」



凛とした声色があたしを包みこんだ。


こんなことで泣いてしまうあたしが、何だかちっぽけに見えて



多くのことを抱えた貴方にまた背負わせてしまうのが辛くて



唇を強く噛み締めた。


貴「や…あたし…部屋に、戻る…」



容赦なく溢れてくる涙を隠すようにドアノブに手をかけた。


噛んだ部位からじんわりと血の味がする。



カネキ「こっち向けって言ってるんだけど」





太くて長い、赤いものがあたしに制止をかける。

カネキ「なんで、言ってくれないの」




ふて腐れたような、不機嫌な声。




何でそんな声を出すのか、あたしには分からない。



貴方はいつも言ってたでしょ?


『一方を捨ててでも守らなければいけないものもある』って。




ならあたしは感情を殺して、あたしを導いてくれた貴方を助けます。




それが、何もできないあたしから貴方への報いです。





貴「貴方に言うことは、これっぽっちもないはずですが…?」






緩んだ赫子を避け払い、静かにドアを閉めた。

こんなはずじゃ→←ありがとうございました♪追記7:00



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ユウ(プロフ) - 食品コーナーでいい匂い??? (2015年6月27日 21時) (レス) id: 89af0c6931 (このIDを非表示/違反報告)
? - 素敵な作品でした。(・∀・)⊃ (2015年5月6日 7時) (レス) id: 1c14e3af80 (このIDを非表示/違反報告)
白龍(プロフ) - 駿浬さん» めちゃ良かった!尾赫の赫者ってどんなんなんだろーねwリア友に描いてもらえない?りゅうりぃー、僕のために描いてくださいよぉ〜。 (2015年3月31日 21時) (レス) id: f35eeeecc2 (このIDを非表示/違反報告)
駿浬(プロフ) - 柏木 エリさん» ホントですか!ありがとうございます♪リア友の絵飽き飽きしてたんです…URLくだされば、ぜひ載せます!(・ω・´ (2015年3月31日 20時) (レス) id: d96e53dc02 (このIDを非表示/違反報告)
駿浬(プロフ) - kouさん» ふふ……照れちゃいますねっ★←ありがとうございます。続編どうか見てくださいね〜 (2015年3月31日 20時) (レス) id: d96e53dc02 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:駿浬 | 作成日時:2015年2月22日 20時

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