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君とは ページ26

カネキside




月山「……いいだろう。特別に教えてあげるよ。ついておいで」



今まで固い表情をしていた月山さんが、ふっと笑みを溢した。


カネキ「ありがとうございます…」



固まっていた表情筋が解けて、胸を撫で下ろし、先を歩く月山さんについていった。



道中、たくさんのクインケや血の生臭い臭いがして違和感を感じたが、美食家の月山さんの事だろうと置いておいた。




月山「ここだよ。入りたまえ」


豪華な重たい扉の奥には、いかにもな女の子の部屋だった。


カネキ「…Aさんの部屋ですか?」


月山「あぁ。いつでも戻ってこれるようにと残してあるんだ」


部屋に足を踏み入れると、一瞬で彼女の匂いに包まれる。

落ち着いた、ラベンダーの香り。




月山「そうだね…カネキくん。これを見てくれ」



辺りを見渡していた僕に、月山さんは小さな写真立てを寄越した。


そこに写っていたのは、依然としてウサギに似たリボンをつけたAさんと、元気に笑う小さな男の子。



カネキ「これは…」




月山「7年前の写真でね。Aと近所に住んでいた人間の男の子だ」


何かを懐かしむ言いぐさに、頭がもたげる。



でも何か、これから伝えられる事実に、耳を傾けてはいけない気さえ起きた。



月山「男の子がAを喰種と知っていたかは知らないがね…よく遊びに誘いに来ていたんだ」









「おーいA!遊ぼーぜ!!」


貴「あー!待ってよ龍ちゃんっ」


その男の子は、龍弥くんと言ったかな。元気な男の子だった。

きっと、Aと同じように恋心を抱いていたはずだ。



カネキ「………」




貴「お兄ちゃん、聞いて!今日、龍ちゃんがねー」



月山「そうかい…よかったね」



明るく笑うAを、誰も咎めることはなかったんだが…



あの日も、いつもと変わらず朝早くから龍弥くんが訪ねてきてね。



「Aの兄ちゃん!Aいるか?」



月山「待っていてくれ。今呼んでくるよ」




毎日日が暮れるまで遊んでは、泥まみれになって帰ってきた。



手を繋いで走っていく二人を見届けながら、きっと今日も泥を持って帰ってくるんだと







そう思っていた。

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ユウ(プロフ) - 食品コーナーでいい匂い??? (2015年6月27日 21時) (レス) id: 89af0c6931 (このIDを非表示/違反報告)
? - 素敵な作品でした。(・∀・)⊃ (2015年5月6日 7時) (レス) id: 1c14e3af80 (このIDを非表示/違反報告)
白龍(プロフ) - 駿浬さん» めちゃ良かった!尾赫の赫者ってどんなんなんだろーねwリア友に描いてもらえない?りゅうりぃー、僕のために描いてくださいよぉ〜。 (2015年3月31日 21時) (レス) id: f35eeeecc2 (このIDを非表示/違反報告)
駿浬(プロフ) - 柏木 エリさん» ホントですか!ありがとうございます♪リア友の絵飽き飽きしてたんです…URLくだされば、ぜひ載せます!(・ω・´ (2015年3月31日 20時) (レス) id: d96e53dc02 (このIDを非表示/違反報告)
駿浬(プロフ) - kouさん» ふふ……照れちゃいますねっ★←ありがとうございます。続編どうか見てくださいね〜 (2015年3月31日 20時) (レス) id: d96e53dc02 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:駿浬 | 作成日時:2015年2月22日 20時

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