レン君拾ったんだけど………。(仮)

5.横顔 ページ5

「あのさ、聞いてくれないかな？」


黙って私を見つめる彼をみつめかえして、深呼吸。


「あのね、君はゴミ置き場で袋に包まれた状態で寝てたの」


「え…」


「多分………君はそのマスターって人に、捨てられたんじゃないかと…思う」


やっとの思いで言い切ると、男の子は一瞬だけ酷く驚いた顔をして、泣いた。


「ふっ……うぅ……く、…うぇ」


「あっ、ああでも！私の推測にしかすぎないっていうか…本当の所は違うかもっていうか…！;」


しゃくりあげる彼を必死になだめようとしても、焦った自分の口からはロクな言葉も出てこなかった。


「うっ、…わかってたの……ましゅたーが僕を嫌いにゃの…っ」


そんなことない、って言いかけて寸前でやめた。


以前彼がどのような扱いを受けてたか、私は知らない。


それなのに無責任にそんなことないなんて言える筋合いがない…。


「ましゅたーは…っ、リンらけを買いたかったのに、僕がリンと一緒にちゅいていたから…邪魔だったんだ、僕が…僕が……ぅう」


泣きじゃくる彼を目の前にして、私は何も言えなかった。


自分がどれだけ無力だったかを知って、切なくなって。


何も言えないかわりに、震える彼の手を両手で強く握った。


彼の横顔があまりにも可愛そうだったから。

6.マスターは、→←4.主人

ラッキーアイテム

革ベルト

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す