＃08 甘くない ページ8
「そんなワガママが世間に通じると思ってる？
そのワガママでAを傷つけるなら…芸能界辞めな」
最後にそんな厳しい言葉を吐き捨て、カイトは通話を遮断した。
「カイト… そんな言い方したら、レンが苦しんじゃうよ…」
俯きがちに私がそう呟くと、カイトは私の頭を撫でた。
「芸能界が甘くないって事をアイツはまだ理解できていないんだ。」
静かに微笑んだ。目は笑っていなかった。
私がレンを苦しめてるの？
もしかして…私の存在はレンの夢を邪魔してるの？
私がここにいなければ…レンは幸せになれるの？
ソレナラ、ワタシガイナクナレバ…？
幼稚な単純思考が私を染め、劣等感が存在をかき消した。
「ねぇ…別れたら幸せになれるのかな…」
カイトに聞こえない声で呟く。私は自分の携帯を握り締めた。
電源を入れようとする手が震える。
関係が壊れるのが、怖い。でも、夢を壊すのが一番怖かった。
震える手で文字を並べる。たったの五文字が怖い。『別れよう』。
もっと傍にいたかった。でも…傍にいてレンを傷つけるのは嫌だった。
『何で？ 俺はAの傍にもっと居たいよ。別れたくないよ。
Aをもっと幸せにするから。傷つけないし、付けた傷は治す。
だから、そんなこと言わないで。こんなに愛してるんだよ？』
『ゴメン これ以上付き合ってらんない』
冷たい言葉を吐かないと、耐えられなかった。
お願いだから、優しくしないで。これ以上私を揺らさないで。
辛いの、私も。私も、まだ傍にいたいの。
『何でだよ。そのあとはカイトとでも付き合うつもりなの』
『そーだよ。だからバイバイ』
苦しくて、苦しくて、耐えらんなくて。
嘘で固めた文章を叩きつけた。
嫌われていーよ。浮気者と思われていーよ。
『嘘つき』
そのメールには返信できなかった。
返せば、レンも私も傷つくから。レンは私を理解していたから、余計に傷ついた。
「泣いてるの？」
私の頬を撫でて呟いた。私は首を横に振って「なんでもない」って。
「どうして自分で背負い込むかなあ…。Aが苦しまなくてもいいのに」
そう言って私の手を優しく握った。
皆、子供みたいな私のワガママに付き合ってくれている。
「なんでレンにそんなこと言ったの？お互い苦しむだけなのに」
カイトには、なんでもお見通しだった。
「ねぇ… 私の… 記憶を… 消して…よ」
掠れた声でそう言うと、カイトから笑顔が消えた。
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アソパソマソ - いっそのこと小説になったらどうでしょうか？文章上手すぎです！！ (2017年6月10日 10時) (
レス) id: f16cde6fb9 (このIDを非表示/違反報告)
ciel - 久々に来た！やっぱいいわ。笑更新大変だろうけど楽しみにしてますー笑頑張って下さい！！ (2014年8月19日 15時) (レス) id: 2387ee59ac (このIDを非表示/違反報告)
セイゴ - めっちゃつづき気になる！ (2014年2月26日 23時) (レス) id: fd283af571 (このIDを非表示/違反報告)
セイゴ - 更新がんばれえええええええ (2014年2月24日 23時) (レス) id: fd283af571 (このIDを非表示/違反報告)
きえ - やっばー！ 久々に読んだら泣けるーー！ヘタレンさん！才能有りますよ絶対！これからも応援してます！ (2014年2月12日 3時) (レス) id: e0b46d0f43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：へたレン娘 | 作成日時：2013年4月1日 21時
