＃16 記憶【ミクオside】 ページ16
Aちゃんの部屋から声がしたので来てみた。
そっとドアを開けて顔を覗かす。
飛び込んでくる震えた少女の声。
やはり、顔も声も性格も同じだから…
高城 Aにしか見えない。
でも、アイツは死んだ。現実さえも受け止められないなんて、兄としてどうなんだろう。
兄として…
「兄ちゃん!!」
今…
なんて？
「兄ちゃん？… 俺が？」
驚きを隠すように俺は優しく微笑んだ。
もしかして… 生まれ変わりなのか？
そんなこと…あるわけないよな…。
レンを…
怖がってるのか？
聞きたいことが多すぎる。
レンがさみしそうな顔でこの部屋から去り、俺はAちゃんに近づく。
「Aちゃん、ちょっと聞いていい？」
「あ… えっと」
「なんで… さっき俺のことを『兄ちゃん』って言ったの？」
「あ…
なんでそんなこと聞くんですか？」
「ちょっと気になることがあってね。
なんでレンを怯えてたか。なんで俺を兄ちゃんと呼んだか。
…なんでそんなに挙動不審なのか。なにか隠してるよね？」
少女は俯いたまま小さな声で話し始めた。
「私は…ここにいてもいいのかわかりません。
あの金髪の方が誰かもわかりません。
でも… あなたのこともリンのことも知ってます。」
顔を上げて俺の方をじっと見つめた。
「信じてくれない、そんなことはわかってる。
だけど…こんなのもうやだよ。ねえ、兄ちゃん。
苦しいよ。兄ちゃんといつまでも他人じゃ。」
「どういうこと？」
お前は… 高城 Aなの？
「私… 私は!! お兄ちゃん…
貴方、初音ミクオの妹!! だよ…」
じっと俺を見つめる目は涙で濡れていた。
「つまり…」
「信じないと思うけど、私は2年前に死んだ高城… 初音Aの生まれ変わりなの」
俺は手を伸ばし、そっとAを抱きしめた。
「信じるよ。おかえり。」
「ふえぇ… お兄ちゃん…」
力が抜け、泣く妹の頭を撫でて、微笑んだ。
22歳にもなって、子供っぽいなあ。
おかえり。A。
＃17 それまで【レンside】→←＃15 記憶【レンside】
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 35人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アソパソマソ - いっそのこと小説になったらどうでしょうか？文章上手すぎです！！ (2017年6月10日 10時) (
レス) id: f16cde6fb9 (このIDを非表示/違反報告)
ciel - 久々に来た！やっぱいいわ。笑更新大変だろうけど楽しみにしてますー笑頑張って下さい！！ (2014年8月19日 15時) (レス) id: 2387ee59ac (このIDを非表示/違反報告)
セイゴ - めっちゃつづき気になる！ (2014年2月26日 23時) (レス) id: fd283af571 (このIDを非表示/違反報告)
セイゴ - 更新がんばれえええええええ (2014年2月24日 23時) (レス) id: fd283af571 (このIDを非表示/違反報告)
きえ - やっばー！ 久々に読んだら泣けるーー！ヘタレンさん！才能有りますよ絶対！これからも応援してます！ (2014年2月12日 3時) (レス) id: e0b46d0f43 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：へたレン娘 | 作成日時：2013年4月1日 21時
