＃15 記憶【レンside】 ページ15
｢やだ… 近づかないでください｣
目の前の少女は怯えた目でそう呟いた。
なんの冗談…？
そうか、俺の心を弄んで楽しもうとしてるのか。
相変わらず…
可愛いな、Aは。
｢A、どうしたの？ 寂しかったの？｣
そう言って前に一歩踏み出すと。
｢や…｣
彼女は震えた悲鳴で後ずさりした。
潤んだ目は揺れて、美しい瞳は俺を見て怯えてる。
その時、俺はやっと理解した。
｢俺が… 怖いの…？｣
本気だ。
Aは本気で俺を怖がっている。
なぜ？
さっきAは｢誰｣と聞いた。
記憶喪失か？
何があったんだ、Aの身に。
｢Aちゃん？ いるのか？｣
ミクオがそっと部屋に入った。
｢兄ちゃんっ…｣
彼女の視線は俺を怯える目からミクオに助けを求める目に変わった。
記憶喪失じゃないのか？
記憶喪失なら…なぜミクオのことを覚えてる？
｢兄ちゃん？…俺が…？｣
そうか。
ミクオは高城Aと零音Aが同一人物ということを知らない。
｢あ…えっと… ミクオ…さん！｣
少女は助けを求める。
｢どうしたの？Aちゃん。｣
｢知らない人が…この部屋に｣
震えた手は一本指を立てて俺の方た。
なんで？
なんで俺が。
俺はAに恨まれてるのか…？
守れなかったから？
約束を破ったから？
カイトに首を締められた時も
グミヤに切りつけられた時も
俺は守れなかったから？
事故のとき、
守るべき俺が迷惑かけてしまったから？
結局俺は
Aの彼氏として最低だったんだ。
彼女も守れない彼なんて。
人としてどうなんだろう…。
ごめん。
辛い思いさせて。
ごめん。
涙なんか流させて。
ごめん。
守れなくて。
ごめん。
幸せにしてやれなくて。
ごめん。
あの時…俺は
君を殺したのと同然だ。
俺は最低な人間だ。
｢A。ごめん。守れなくて｣
｢なんの話してるんですか…？やめてください目の前から消えてください！｣
目の前から消えてください…
目の前から…
迷惑だったんだ。やっぱり。
俺はそっと彼女の前から姿を消した。
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アソパソマソ - いっそのこと小説になったらどうでしょうか？文章上手すぎです！！ (2017年6月10日 10時) (
レス) id: f16cde6fb9 (このIDを非表示/違反報告)
ciel - 久々に来た！やっぱいいわ。笑更新大変だろうけど楽しみにしてますー笑頑張って下さい！！ (2014年8月19日 15時) (レス) id: 2387ee59ac (このIDを非表示/違反報告)
セイゴ - めっちゃつづき気になる！ (2014年2月26日 23時) (レス) id: fd283af571 (このIDを非表示/違反報告)
セイゴ - 更新がんばれえええええええ (2014年2月24日 23時) (レス) id: fd283af571 (このIDを非表示/違反報告)
きえ - やっばー！ 久々に読んだら泣けるーー！ヘタレンさん！才能有りますよ絶対！これからも応援してます！ (2014年2月12日 3時) (レス) id: e0b46d0f43 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：へたレン娘 | 作成日時：2013年4月1日 21時
