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08.御幸限定 ページ8
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3人は揃いに揃って私の手元を覗き込んで、
キラキラした目でこっちを見てる。
「これね、お兄ちゃんからのお下がり」
そんな3人に当たり障りなく返答してあげると、
みんな目を丸くして驚いた。
春市くんは目がこちらから見えないんだけども。
「先輩ってお兄さんいたんですね！」
「意外…」
お兄ちゃんの写真を見せると、
さらに沢村くんは「おーっ！」という声を漏らした。
「先輩のお兄さんって野球されてたんですか？」
春市くんがこくんと首を傾げて、私にきいてくる。
いつも思う、
女子力が女子よりも高いんじゃないかって。
「うん、青道でね。監督も多分知ってると思う。子供っぽくて変なやつだけどね」
私がこう答えるとにこりと笑ってくれて、
「なんなのこの後輩…天使…？」と私に思わせた。
「ところでA先輩！」
沢村くんが声をはりあげる。
「キャッチボールしやせんか！」
「ごめん無理」
「即答⁉ なんでですか！」
わあわあと騒ぎ立てる沢村くんを春市くんがなだめる。
「キャッチボールは御幸としかしないんで」
その時背後から、今日1番会いたかった人の声が聞こえた。
「嬉しいこと言ってくれるじゃねーか」
「わわわ御幸！お、おはよう！」
朝からいいスタートだ。
「ごめんね沢村くん」
沢村くんに謝ってから、私は練習の準備を始める御幸の背中に向かって走った。
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